【エルサレム時事】イスラム組織ハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザへ地上侵攻したイスラエル軍は、最大都市ガザ市の中心部に入った。ガラント国防相が7日明らかにした。イスラエル軍は8日、ハマス兵器製造部門のトップを殺害したと発表。空爆と地上作戦を並行させ、徹底抗戦の構えを続けるハマスとの市街戦激化も辞さない構えで、攻勢を一段と強めている。
 ロイター通信は8日、ハマスが築いた巨大な地下トンネル網の場所をイスラエルの地上部隊が特定し、攻撃する「次の局面」の作戦を実行していると報じた。イスラエル軍報道官は、総延長数百キロに及ぶとされるハマスの地下トンネルを破壊するため爆発物を使用していると説明。ガラント氏は「ガザは過去最大のテロリスト基地だ」と述べ、ハマス壊滅に向けた決意を強調した。
 米ネットメディア「アクシオス」によると、バイデン米大統領は6日のネタニヤフ首相との電話会談で、3日間の戦闘停止を要請したが、ネタニヤフ氏は応じなかった。米政府は、戦闘中断時にハマスに10~15人の人質を解放させようとしたという。AFP通信は8日、米国と連携するカタールの仲介で、1~2日間の戦闘停止と引き換えに人質10~15人を解放する案を巡り、イスラエルとハマスの交渉が進んでいると伝えた。
 ネタニヤフ氏は6日の米ABCテレビの番組で、ハマスとの戦闘終了後もガザに部隊を駐留させると示唆した。だが、ブリンケン米国務長官は8日、東京都内で記者会見し、イスラエルがガザを再占領すべきではないとの認識を示した。
 8日のガザ当局の集計では、ガザでの戦闘の死者は子供4300人以上を含め1万569人となった。イスラエル側の犠牲は1400人以上。
 一方、エジプト当局者が米CNNテレビに語ったところによると、7日にガザ南部のラファ検問所を通じてエジプトに退避した外国人は637人に上った。世界保健機関(WHO)は、12万人以上のガザ市民が病院などに身を寄せ、学校にも82万人超が避難中と推計している。 
〔写真説明〕パレスチナ自治区ガザ北部で作戦を展開するイスラエル部隊=イスラエル軍が7日提供(AFP時事)
〔写真説明〕パレスチナ自治区ガザで、イスラム組織ハマスが利用しているとされるトンネルの入り口を確認するイスラエル兵=イスラエル軍が3日公開の映像より(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)