【エルサレム時事】イスラエル軍は16日、イスラム組織ハマスの拠点が地下にあるとして突入した、パレスチナ自治区ガザ最大規模のシファ病院での作戦を続けた。軍報道官は15日夜、武器や指揮所を発見したと発表し、「病院がテロ目的で使用されていたことを示している」と強調。しかし、イスラエルが主張しているハマスの地下トンネルが見つかったかどうかは明らかにしていない。
 一方、軍は16日の戦況報告で、ガザにあるハマス最高指導者ハニヤ氏の自宅を15日夜に空爆したと明らかにした。「イスラエルへのテロ攻撃を指揮するハマス高官らの会合が頻繁に開かれた場所だ」と指摘した。死傷者の有無は不明。ハニヤ氏はイスラエルとハマスの交戦開始後もカタールなどに滞在しており、不在だったとみられる。
 イスラエル軍はシファ病院から発見されたとする自動小銃や手投げ弾、防弾ベストの映像を公開。軍に同行して病院内を取材した英BBC放送は16日、軍報道官の話として、拘束中の人質とみられる画像を保存したパソコンも残されていたと伝えた。ネタニヤフ首相は病院急襲後、「ガザでわれわれが到達できない場所はない」とハマス壊滅への決意を改めて表明した。
 ただ、ロイター通信によると、ハマス幹部は「占領軍(イスラエル)は、いまだにうそをついている。武器や道具などを持ち込み、病院に置いている」と強調。イスラエル側の自作自演だと非難している。
 中東の衛星テレビ局アルジャジーラによると、イスラエル軍は壁などを壊しながら部屋をくまなく捜索しているため、外科病棟などの建物が激しく損傷した。薬や医療機材を保管する倉庫も爆破されたと伝えている。
 バイデン米大統領は15日、シファ病院でのイスラエル軍の活動に関し「非常に注意深くあるべきだと、われわれは話してきた」と語り、慎重な対応をイスラエル側に求めていたことを明らかにした。 
〔写真説明〕パレスチナ自治区ガザ北部のシファ病院で見つかったとされる武器や衣類=イスラエル軍が15日公開

(ニュース提供元:時事通信社)