【エルサレム時事】イスラエル軍報道官は17日夜の記者会見で、パレスチナ自治区ガザで続くイスラム組織ハマスとの戦闘に関し「ハマスがいればどこへでも進撃する」と述べ、ガザ北部から住民多数が退避しているガザ南部に作戦を拡大する可能性を示唆した。地上侵攻が南部でも実施されれば、人道危機のさらなる悪化は避けられず、戦闘停止を求める声は一段と強まりそうだ。
 AFP通信はガザ保健当局の情報として、北部ジャバリヤ難民キャンプに18日、2回の空爆があり、計80人以上が死亡したと伝えた。キャンプ内で国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)が運営する学校が標的になり、避難していた人々らが犠牲になったという。
 イスラエル軍はガザを南北に分断し、北部でハマスの軍事拠点の制圧を進めている。ガラント国防相は16日、「次の段階が始まった」と強調。ハマス幹部の多くは既にガザ南部の地下施設などへ逃れた可能性が指摘されており、軍報道官は「われわれにとって最適な条件の下で行われる」と南部での地上作戦を否定しなかった。
 ロイター通信によれば、ガザ南部ハンユニスでは17日夜に住宅地への空爆で子供を含む26人が死亡したほか、18日の空爆でも15人が死亡。南部デイルアルバラハでも、住宅への空爆で6人が死亡した。イスラエル軍は、ハンユニスで住民らに安全な場所への退避を求めるビラを配布していると伝えられ、国連人道問題調整事務所(OCHA)は17日付の報告で「南部でも激しい攻撃が続いている」と懸念を示した。
 AFPなどは18日、イスラエル軍が地下にハマスの司令部があると主張して突入したガザ市最大規模のシファ病院に残っている負傷者や避難民、医療従事者らに、徒歩での退去を命じたと報じた。既に数百人が病院を離れたという。
 これに対しイスラエル軍は、「避難を求める人が安全なルートで退避できるよう、病院の要請に同意した。医師らは退避できない患者を支えるため病院にとどまる」として、命令はしていないと主張した。 
〔写真説明〕18日、パレスチナ自治区ガザ南部ハンユニスで、イスラエル軍の攻撃により破壊された集合住宅(ロイター時事)

(ニュース提供元:時事通信社)