【エルサレム時事】イスラエルのガラント国防相は18日、パレスチナ自治区ガザでのイスラム組織ハマスとの戦闘に関し「(ガザ)南部にいるテロリストも、すぐに思い知ることになるだろう」と述べ、ガザ北部から南部へ地上作戦を強化する方針を示した。ただ、開始時期には言及しなかった。イスラエル側は、10月の奇襲に関与したハマス幹部らが既にガザ南部へ逃れたとみて、徹底追跡し壊滅を目指す構えだ。
 ガラント氏は、ガザ北部での激戦で多数のハマス司令官を殺害し、戦闘員らが使用していた地下トンネルや拠点に打撃を加えたと強調。「テロリストが自由に動ける場所は、日ごとに少なくなっている」と戦果を誇示した。
 また、今回の作戦はハマスとの「全面戦争」だと指摘。「軍服を着て自動小銃を持つ戦闘員と、スーツ姿で世界を飛び回るメンバーを区別しない」として、カタールなどに滞在するハマス政治部門のメンバーも標的とする可能性を示唆した。
 ロイター通信によると、ガザ中部では18日夜から19日未明にかけて難民キャンプへの空爆が相次ぎ、パレスチナ人記者を含む計31人が死亡。南部ハンユニスでも空爆で2人が死亡した。
 イスラエル軍報道官は18日の記者会見で、占拠しているガザ市最大規模のシファ病院で地下の施設や武器の捜索を続けていると説明。地下にハマスの司令部があるとするイスラエル側の主張を裏付ける「物証」を近く公開すると明言した。「証拠」が提示されていないことで高まっていた疑念の払拭を急ぐ考えとみられる。
 ハマスの軍事部門は18日、ガザへ連行された後に消息不明になった人質がいると、通信アプリで主張。人質の一部はハマス以外の武装勢力が拘束しているとされるが、連絡が途絶えたという。安否情報でイスラエル側を揺さぶる戦略の一環とみられる。 
〔写真説明〕18日、イスラエル北部の軍司令部を訪問したガラント国防相(中央)(同軍提供・時事)
〔写真説明〕18日、パレスチナ自治区ガザ南部ハンユニスで、イスラエル軍の空爆の後、がれきの中で生存者を捜す人々(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)