文章や画像などを作る生成AI(人工知能)を巡り、著作権侵害について一定の考え方を検討する文化審議会の小委員会が29日開かれた。一般から公募した意見などを踏まえた最終的な素案を文化庁が提示し、大筋で了承した。AIの無断学習に「歯止め」をかける内容で、3月中に開催される同審議会分科会に報告した上で、周知啓発を進める。
 この考え方は、生成AIの利用拡大に伴い、著作権者や開発事業者、利用者の懸念が高まっていることを受けて検討に着手。開発や利用段階での権利侵害に関し、現行法上の解釈に当たっての考え方を示すのが狙い。
 著作権法は、開発段階でAIにデータを学習させる場合は、原則として許諾なく著作物を利用できると規定。著作権者の利益を不当に侵害する場合は許諾が必要となる。また、利用段階でも軽微な利用については許諾は不要としている。
 同庁の素案では、特定のクリエイターの創作的表現を意図的に出力させる目的でAIに学習させる場合には許諾が必要だとした。検索エンジンとAIを組み合わせて、インターネット上の最新情報の加工や要約などを行う手法についても、程度を超えた場合は、許諾が不要な軽微利用には当たらないとの見方を示した。
 著作権者の利益が不当に侵害されるケースとしては、欧米の新聞社によるデータベース販売を例示。将来の販売が想定されるデータベースについて、AI学習を防止する技術的措置を回避して学習させる行為に対しては、許諾が必要と考えられるとした。
 また海賊版と知りながら学習データを収集した場合は、AIの開発事業者が権利侵害の責任を問われる可能性があることも示した。
 小委員会は今後も情報収集などを行い、必要に応じて考え方の見直しを行う方針。 
〔写真説明〕文化庁=京都市上京区

(ニュース提供元:時事通信社)