急速に普及する生成AI(人工知能)を巡り、著作権侵害に関する考え方が29日、文化審議会の小委員会で大筋で了承された。社会的関心は高く、文化庁が公表した素案に対するパブリックコメント(意見公募)には賛否双方の立場から延べ約2万5000件の意見が寄せられた。
 同庁によると、個人のほか73の法人や団体から提出された。AI事業者側は「実務に非常に強い影響を及ぼす」として、考え方公表は「時期尚早」と指摘。開発への「大きな萎縮的効果」を懸念する意見もあった。
 権利者側の日本新聞協会は9日、無断学習に「歯止め」をかける内容だとして一定の評価をした上で、「現行法の解釈だけでは限界がある」として、法改正を求める意見書を提出した。
 著作権に詳しい上沼紫野弁護士は、「あくまで現行法の解釈に当たっての『考え方』を示したもので、実際の裁判でどうなるかは分からない」と指摘する。
 欧米では生成AIを巡り訴訟に発展するケースが出てきているが、「日本で法改正するには、さらに技術の進展の状況や具体的な事例などについて検討が必要だ」と話した。 
〔写真説明〕文化庁=京都市上京区

(ニュース提供元:時事通信社)