ロシア・モスクワ郊外で22日に起きた銃乱射テロで、独立系メディア「バージニエ・イストーリー」は29日、過激派組織「イスラム国」(IS)に関連する暗号資産(仮想通貨)口座から事件後、2525ドル(約38万円)が引き出されたと伝えた。報酬との見方が出ている。
 ISが犯行声明を出し、アフガニスタンが拠点のIS支部「イスラム国ホラサン州」(IS―K)が事件に関わったと報じられた。暗号資産の口座は、アフガンの隣国タジキスタンのIS―K支部と関係があるという。
 実行犯とされる4人の一人で、タジク国籍のシャムシディン・ファリドゥニ容疑者は23日に拘束された際の映像で「報酬は50万ルーブル(約82万円)。うち半分は既に受け取った」と述べた。暗号資産の引き出し額とおおむね一致しており、何者かが送金した可能性もある。
 ロシア連邦捜査委員会は28日、実行犯以外に新たに容疑者1人を拘束したと発表。この人物を通じて「多額の金銭と暗号資産が提供された」と説明していた。同委は「ウクライナ民族主義者とつながりがあった」と主張するが、今回の報道はウクライナの関与を示すものではない。
 一方、29日のロイター通信によると、タジク国家保安委員会は25日、首都ドゥシャンベ郊外でIS―Kや実行犯と関係があるとみられる9人を拘束した。
 事件の負傷者について、タス通信は29日、入院分を含めて382人に増えたと報道。ロシア紙イズベスチヤ(電子版)は551人だと伝えた。死者数は同日までの当局発表で144人。 
〔写真説明〕モスクワで起きた銃乱射事件の実行犯とされる4容疑者(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)