上水道の整備や管理業務が1日付で厚生労働省から国土交通省に移管され、上下水道行政が国交省に一元化される。能登半島地震で水道関連施設の脆弱(ぜいじゃく)さが露呈する中、上下一体による災害対応の強化が大きな課題だ。インフラに精通する同省の強みを生かし、斉藤鉄夫国交相は「水道行政のパフォーマンスを一層向上させていく」と強調する。
 移管はコロナ禍がきっかけだ。厚労省が感染症対応や医療、社会保障分野に注力できるよう組織見直しが議論され、法改正を経て、下水道行政を所管する国交省に移すことになった。
 能登半島地震では、上下水道の管路の破損が相次ぎ、断水は一時最大13万戸超に及んだ。全国の主要な管路の耐震化率は上水道で42%、下水道で56%と低い。国交省は同一エリアの上下水道の耐震化工事を一括で行うなど対策を急ぐ。
 出先機関の地方整備局の人員を計20人増やし、緊急災害対策派遣隊(TEC―FORCE)による被災状況の調査や、給水車などの派遣支援を拡充。下水道が復旧しないと上水道も流せないため、上下で工程を調整する体制も整える。
 経営効率化も重要テーマだ。人口減で料金・使用料収入が減る一方、老朽化に伴う更新需要は今後増え、値上げに踏み切る自治体も相次いでいる。
 同省は、自治体が上下水道施設の維持管理や更新を民間に一括委託する「ウオーターPPP(官民連携)」を進める考え。運転や保守、点検など共通する業務を効率化し、コスト削減を目指す。新年度から、導入を検討する自治体に最大5000万円を補助する制度を始める。2023年度末時点の導入実績は水道が5件、下水道が3件。政府は31年度までにそれぞれ100件を目指す。
 下水処理場や浄水場を最適に配置するため、統廃合する自治体への支援も行う。 
〔写真説明〕国土交通省などが入る中央合同庁舎第3号館=3月9日、東京都千代田区

(ニュース提供元:時事通信社)