気象庁は9日、南海トラフ地震評価検討会(会長・平田直東京大名誉教授)の定例会合を開き、「大規模地震の可能性が平常時と比べて相対的に高まったと考えられる特段の変化は観測されていない」との評価をまとめた。
 4月17日に愛媛、高知両県で最大震度6弱を観測する地震が起きたが、震源が陸海のプレート境界より深く、地震の規模もマグニチュード(M)6.6とそれほど大きくなかった。このため、南海トラフ地震の震源と想定されるプレート境界に「特段の変化をもたらすものではないと考えられる」という。
 政府の地震調査委員長を兼ねる平田会長は会合後の記者会見で、愛媛・高知地震はプレート境界で周期的に起きているゆっくりとした滑りや微動にも影響しなかったと説明。その上で、「南海トラフ地震はいつ起きても不思議でない状況が続いており、備えを進めてほしい」と述べた。
 南海トラフ地震の想定震源域内で起きたが、規模が評価検討会の臨時会合を開く基準(M6.8以上)に達しなかった。このため、毎月開かれる定例会合で影響を審議した。 
〔写真説明〕南海トラフ地震評価検討会の定例会合後、記者会見する平田直会長(中央)ら=9日午後、東京都港区の気象庁

(ニュース提供元:時事通信社)