【パリ時事】フランス政府は15日、暴動で死者が出ている南太平洋の仏領ニューカレドニアに「非常事態」を宣言した。政治・経済危機を背景に放火や略奪が相次いでおり、4人が死亡。事態の沈静化を急ぐ必要があると判断した。空港、港湾など重要インフラの安全を確保するため、軍部隊の投入も決めた。
 非常事態は、治安悪化で危険が差し迫った場合などに発令される。宣言により当局の権限が強化され、集会・通行を禁止したり、特定の人物に自宅軟禁を科したりできる。アタル首相はX(旧ツイッター)で「あらゆる手を尽くしてニューカレドニアの秩序と安全を取り戻す」と強調した。
 AFP通信によると、短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の使用も禁止。パリなどで昨年起きた暴動では、暴力行為を行う若者の情報交換にSNSが多用されていた。
 現地には警官などの治安部隊が1800人態勢で展開。エリゼ宮(仏大統領府)報道官は15日の記者会見で、暴力の拡大阻止へ500人の増派を明らかにした。 
〔写真説明〕フランス領ニューカレドニアの中心都市ヌメアの自動車販売店で、燃やされ放置された車=14日(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)