BCP定着の要素を語った岡部氏

1月24日・東京都中小企業振興公社フォーラムより

2006年から国際標準化機構(ISO)でBCP(事業継続計画)に関する規格の策定が始まり、私もその委員を務めています。その関係でBCP導入企業がどのくらいBCPを定着させているのか、非常に関心があります。現実には、BCPの定着に悩んでいる企業が少なくないようです。

平成26年(2014年)から東京都が行っているBCP策定支援事業へ参加した中小企業を中心にアンケート調査を実施しました。BCP導入企業のうち、BCPが「定着」「ほぼ定着」しているという回答が38%、「定着していない」という回答が62%でした。

そこで、BCP作成・定着にどのような要素が関連し、さらに原因となっているかを分析しました。BCP作成の理由は非常に明快で、「社長の指示」でした。社長が指示した理由では、「自社の態勢不備が不安」「社長の時に会社を潰せない」「営業上のプラス」と非常に興味深い3項目が上がりました。

一方、社長指示はBCP定着の原因でないことが、分析結果から確認されました。社長が指示してもBCPは定着しないのです。BCPを定着させる原因要素としては、「BCP環境」と「企業風土」から、いくつかの要素が浮かんできました。
BCP定着の原因要素と認められた「BCP環境」から浮かび上がったのは、「有能なBCPリーダー」「BCP必要性の認識」「関係部署の参加」「コンサル後、自分で進められる」「社員の盛り上がり」の6項目。

この中でも「社員の盛り上がり」は他の項目に比べてBCP定着と相関性が強く、BCP定着のキーワードであることを示していました。「社員の盛り上がり」とは何かを分析すると、「関係部署が広く参加している」「想定すべき具体的な緊急事態が社員で共有されている」「PDCAが回っている」「社外の支援のあと、自社内で進められる」との相関関係が認められ、こうした社内のBCP活動状況を示していることが分かりました。皆さんの会社で「BCP環境」を自己診断する場合に、これらの項目をチェック項目として使用できます。