Q.   段階的に進めていくような姿勢が必要だと思います。

我々が考えているリスクマネジメントのステップは3つに分かれる。

ステップ1は、自社に潜むリスクを把握すること。まずは、各企業でどんなリスクがあるのかということをしっかりと確認する。そのために、管理状況の監査というものをしっかりとらなければいけない。

ステップ2は、自社のルールを決定すること。抽出されたリスクを抑え込むルールの決定と運用の仕組みを構築していく。それには管理方法とシステム化という考え方を入れていかなくてはいけない。アナログの管理では、知識・経験を要する上に、判断にばらつきが生じて過失も発生してしまう。どこの工場でやったとしても、担当者の知識・経験に左右されず、逸脱されない全社の統一ルール・仕組みをつくることが大切だ。

そして、ステップ3が社内浸透と仕組みの強化。組織階層によって必要な知識というのは全く変わってくる。例えば、本社管理部門、工場管理部門、現場担当部門では、必要とされる知識が違う。したがって、階層別にしっかりと計画を立てて教育をしていく必要性がある。

この3つのステップの中で、我々が一番大事にしているのがステップ1で、やはり自社のリスクが何なのかというのことを正しく理解できていないと、それ以外のところのプロセスが失敗に終わってしまう。

先進企業では、部門ごとによるクロス監査や、総合監査を行っているところもある。本社の管理部門による各拠点の監査に力を入れている企業もある。いずれも非常に素晴らしい取り組みだと思うが、リスクの抽出が本当に適切にできているかは疑問が残る。監査するにも、専門的な知識が必要になる。見るべきポイントをおさえなければ、どんなに丁寧に監査をしたとしても、適切にリスクを見つけ出すことはできない。

社内での部門間の力関係もあるだろうし、本社と工場側の意識差なども影響してしまう。

とにかくリスク抽出においては、第三者による客観的で専門視点を持つプロを取り入れることが重要ではないか。