3つの大規模マンション合同「炊き出しフェス」の様子(画像提供:パークシティ溝の口)

地域の4割もの世帯数を占める3つのマンションが連携


川崎市高津区久本。東急田園都市線溝の口駅、JR南武線武蔵溝ノ口駅からほど近い“溝の口”エリア。30年ほど前から再開発が進み、大規模マンションが建ち並ぶようになったこの地区で、6月26日、3つの大規模マンションが連携した防災イベント「炊き出しフェス」が行われた。

1982〜84年(5期にわたり)竣工・築32年のパークシティ溝の口(以下パーク)、2000年竣工・築16年のメイフェアパークス溝の口(以下メイフェア)、2006年竣工・築10年のタワー&パークス(以下タワー)。前から順に1103戸、547戸、648戸と500戸を超える大規模マンションである。この3マンションの世帯数合計は、久本の総世帯数約5800戸のうち、4割にのぼる約2300戸を占めている。この3マンションは、なぜ連携するようになったのだろうか。

連携のきっかけはパークに住む山本美賢さん(53)の働きかけだ。2011年にパークの住民となった山本さんは、たまたま管理組合の理事になったことで、自分が住むマンションや地区について深く知るようになった。2011年当時にすでに築27年目を迎えていたパークでは、住民の高齢化が思いのほか進んでいた。

3マンション連携のきっかけを作った山本美賢さん。

「マンションは築年が経過するごとに“建物老朽化”と“住民の高齢化”という2つの老いに直面します。理事になった当時、はじめて『うちのマンションの年齢構成はどうなっているんだろう?』と思いました。実際のところ、2011年当時ですでに61歳以上が世帯の66%だったのです」。

高齢層の増加は災害が起こったときに支援が必要になる住民の増加でもある。何かあったときに助け合うには、コミュニティ形成が必要だ。そこで山本さんは管理組合や自治会、住民を巻き込んでさまざまな仕掛けを作り、マンション内で連携できる仕組みを作ってきた(取り組みの一部はパークのホームページで見ることができる。http://mizopark.com)。

山本さんたち管理組合理事で、日本一防災が進んでいるといわれる兵庫の加古川グリーンシティに視察にも行った。また住民に災害対策名簿を配布し、7割を回収。25%の家庭が災害時の避難支援を希望していることも分かった。

ふと、近隣のマンションはどうなっているかな?と山本さんは考えた。「おそらくは築年数の違いで住民の年齢構成に違いがあるだろう」と推測し、メイフェアやタワーの自治会青年部長や自治会長に問題共有を投げかけてみると、実際に、年齢層は3マンションできれいにばらけており、それぞれの特長も異なっていたのである。

例えていうなら、60代以上が大半を占めるパークはさまざまな経験を積んだ老練な知恵者、30〜40代の壮年層が多いメイフェアは起動力とパワーがあり、20〜30代が中心となるタワーは、保育園や小学校のママ友のネットワークがマンション内外を超えてつながり、またSNSなども縦横無尽に活用、情報発信が強いといった感じなのだ。

マンションといえど、ご近所はご近所。大規模マンションが直面する問題はいずれも同じなので、先を行くパークの知見は、メイフェアやタワーに役立つはず。
「3マンションの連携を作っておけば、いざ何かあったときにそれぞれが持っているものを使いあって助け合うことができるわけです」(山本さん)。
 
3マンションが合同で開催するイベントは2016年2月の餅つきに次いで2度目となる。餅つきはきっかけ作りであり、今回はもう一歩踏み込んだ「知見の共有」が目的だ。