セミナーには自社の取引先ら約100人が参加した

半導体製造装置メーカーの株式会社ディスコ(東京都大田区)は9月14日、自社の取引先となるサプライヤーを対象にしたBCP解説セミナーを開催した。同社は国内でいち早くBCP構築に着手し、事業継続マネジメントシステムの国際規格であるISO22301も運用しているが、自社の事業を継続するためには、製品の生産に必要となる部品や原材料の仕入先や加工会社などサプライヤーにも事業を継続してもらうことが不可欠なことから、今年から全国の主要拠点でBCPの解説セミナーを開催するとともに、必要に応じてサプライヤーの会社に出向いてBCP構築の支援を行っている。

サプライヤーを対象にしたセミナーは今年2回目で、全国の取引先69社から約100人の防災・BCP担当者が参加した。冒頭、購買本部購買グループリーダーの西牟田克三郎氏は「当社が取引させて頂いているお客様の多くは、半導体や電子部品のメーカーで8割が海外にある。

海外のお客様が日本を見た時に災害のリスクは大きく、会社の事業に不安を持たれないように、すべての工場を免振構造にするとともにBCPに取り組んでいる。ただし、当社がどんなに頑張ってもサプライヤーの皆様が事業を継続してくれないと、当社のBCPは何の効力ももたない。是非、皆様のBCPと当社のBCPと重ね合わせ一緒に取り組んでいかせてほしい」とあいさつした。

自社のBCPに対する考え方や取り組みの状況を解説する渋谷氏

続いて、サポート本部総務部BCM推進チームリーダーの渋谷真弘氏が同社としてのBCPに対する考え方や取り組みの状況を解説。渋谷氏は、自社の生産拠点や事業復旧の流れを説明した後で、「事業を継続するためには、社員一人ひとりが被災するということを理解した上で、家族・生活を守ることが前提」と強調し、社員だけでも簡単に取り組める訓練や備蓄の方法を披露した。

同社では、毎年、サプライヤーのBCPの取り組み状況をアンケート調査しているが、今年は、①安全の確保、②安心の確保、③安全・健康を脅かすリスクへの対応(生活を守る活動)、安全・健康を脅かすリスク下でのBCP(安全を確保しながら仕事を続ける活動)、⑤被災した際に生産・出荷への影響を最小限にする活動の5項目に分け、BCPにおける課題を可視化。その結果、サプライヤー全体のBCPの策定状況は49ポイントで約半数にのぼったが、②の安心確保に関しては、他の項目に比べ取り組み状況が低いことが明らかになったという。

渋谷氏は「安心確保とは、従業員一人ひとりの問題で、家庭での防災の取り組みに関する項目。平時からの備蓄をしっかりすることや、被災後の生活再建の知識を身に付けておく必要がある。こうした点が抜け落ちていてはせっかく作ったBCPが機能しない」と語った。

(了)