消防庁の青木長官(中央)は冒頭、再発防止策をたてる方針を示した

消防庁と国土交通省は14日、第1回「埼玉県三芳町倉庫火災をふまえた防火対策及び消防活動のあり方に関する検討会」を開催した。三芳町にあるオフィス用品通販大手アスクルの倉庫の火災を受けて、検証し再発防止策を検討する。消防庁や国交省以外に、消火にあたった埼玉県の消防関係者のほか、東京都と埼玉県の都市整備部局、日本倉庫協会を始め業界団体の関係者も参加した。6月に方針を取りまとめる。

火災を起こしたアスクルの倉庫は3階建てで延床面積7万1891.59㎡。そのうち約4万5000㎡が燃え、2人の負傷者を出した。火災発生が2月16日で鎮火したのは同28日。火災がわかってから鎮火に要した時間は296時間で、1979年以降の倉庫火災では2014年に愛知県蟹江町であった焼損床面積1万9782㎡、鎮火まで45時間を大幅に上回る最悪の結果となった。

今回の火災では1階の廃ダンボール置き場から出火。1階はここ以外に焼損はないが、シューターを通じ2階そして3階に延焼し、その2フロアの大部分を焼損した。その後の調査でわかったこととして作動しなかった、もしくはコンベヤーや物品が障害となり、一部の防火シャッターが閉鎖しなかったことが報告された。今回の火災では大規模災害や列車脱線といった大規模事故を想定し、2006年に結成された埼玉県特別機動援助隊(埼玉SMART)が初めて出動した。

物流需要の増加により、延床面積5万㎡以上の大規模倉庫は2001年に27カ所だったのが2016年には約6倍の150カ所に増加。日本倉庫協会によると倉庫には他者から預かった荷物を扱う営業倉庫と、自分の荷物のみを扱う自家倉庫があり、近年のネット通販拡大の影響で5万㎡以上の大型倉庫には自家倉庫が多いという。消防庁では都道府県に対し、5万㎡以上の倉庫について概要や違反の有無、是正措置の状況を24日までに回答するよう調査要請を出している。

消防庁の青木信之長官は冒頭、「今回の火災は鎮火に12日もかかった特異な火災だ。こんなにも消火に時間がかからないよう、再発防止へ必要な対策をたてたい」と述べた。今回の会合では火災のあった倉庫での仕分けや発送の作業を紹介する動画も流された。座長を務める小林恭一・東京理科大学総合研究院教授は会合後の取材に対し、「火災のあった倉庫は多くの人が作業をしており、ものを置くだけのイメージの従来とは異なる。大規模倉庫の安全対策を改めて考えたい」と述べた。防火シャッターが作動しなかったことについては「メンテナンスが必要だ。今回もしっかり初期に閉まれば2階まで延焼しなかっただろう」と分析した。

(了)