2017/06/23
防災・危機管理ニュース
内閣府を中心とした政府の中央防災会議は22日、防災対策実行会議の「洪水・高潮氾濫からの大規模・広域避難検討ワーキンググループ(WG)」の第4回会合を開催。主に墨田区、江東区、足立区、葛飾区、江戸川区の東京都の江東5区における洪水時の広域避難について話し合われた。人口の約8%にあたる長距離移動困難者21万人については屋内安全確保などで5区内にとどまることも想定。5区外へ151万~172万人が避難すると見込む。
江東5区の人口は約251万人。荒川と江戸川の洪水が起こった場合、ほぼ全域が浸水すると想定されている。病院や福祉施設の入院・入所者2万人やその付き添い支援者1万人など、長距離移動が困難な人は21万人。洪水時に基本は5区外退避だが、入院・入所者は施設内での屋内安全確保、このほか長距離移動が困難な人は5区内の公的施設への避難も可能とする方針。多くの病院や福祉施設では3日分の物資の備蓄がされており、もし入院・入所者がとどまって救助の必要がある場合も、3日以内の救助を目指す。
もし21万人の長距離移動困難者が全員5区内にとどまった場合、5区外への立ち退き避難者は151万人、全員が避難する場合は172万人と想定。鉄道の運行停止も見込み、発災の24時間前には避難開始を行う。個人の判断に任せると避難には17時間以上だが、移動手段やルートを理想的に分散できれば3時間程度と推定。5区外での公的避難施設利用を最低限とするため、親戚宅や通勤先といった自主避難先の確保を住民には呼びかける。
出席した長坂康正・内閣府政務官は洪水対策について「過酷な事象を視野に入れ、排水や避難経路で中長期的な対策をたてたい」と述べた。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月23日配信アーカイブ】
【4月23日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:南海トラフ地震臨時情報を想定した訓練手法
2024/04/23
-
-
-
2023年防災・BCP・リスクマネジメント事例集【永久保存版】
リスク対策.comは、PDF媒体「月刊BCPリーダーズ」2023年1月号~12月号に掲載した企業事例記事を抜粋し、テーマ別にまとめました。合計16社の取り組みを読むことができます。さまざまな業種・規模の企業事例は、防災・BCP、リスクマネジメントの実践イメージをつかむうえで有効。自社の学びや振り返り、改善にお役立てください。
2024/04/22
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月16日配信アーカイブ】
【4月16日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:熊本地震におけるBCP
2024/04/16
-
調達先の分散化で製造停止を回避
2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町。オフィス家具を製造するホリグチは真備町内でも高台に立地するため、工場と事務所は無事だった。しかし通信と物流がストップ。事業を続けるため工夫を重ねた。その後、被災経験から保険を見直し、調達先も分散化。おかげで2023年5月には調達先で事故が起き仕入れがストップするも、代替先からの仕入れで解決した。
2024/04/16
-
工場が吹き飛ぶ爆発被害からの再起動
2018年の西日本豪雨で隣接するアルミ工場が爆発し、施設の一部が吹き飛ぶなど壊滅的な被害を受けた川上鉄工所。新たな設備の調達に苦労するも、8カ月後に工場の再稼働を果たす。その後、BCPの策定に取り組んだ。事業継続で最大の障害は金属の加温設備。浸水したら工場はストップする。同社は対策に動き出している。
2024/04/15
-
動きやすい対策本部のディテールを随所に
1971年にから、、50年以上にわたり首都圏の流通を支えてきた東京流通センター。物流の要としての機能だけではなく、オフィスビルやイベントホールも備える。2017年、2023年には免震装置を導入した最新の物流ビルを竣工。同社は防災対策だけではなく、BCMにも力を入れている。
2024/04/12
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方