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皆さんは再保険という言葉をご存じでしょうか?

再保険とは読んで字のごとく、保険会社が再び保険をかけることです。保険会社は事故が発生した際に、契約者である企業に保険金を支払いますが、高額な保険金支払いが発生すると保険会社自身の財務状況が痛みます。そこで巨額損失に備えて、保険会社が別の保険会社に保険をかけるのです。保険会社からの保険を引き受ける会社を再保険会社といいます。

日本の保険会社は業務の一部として再保険の引受もしていますが、多くの保険会社では主たる業務は元受保険、すなわち企業などの契約者と直接保険契約を行っています。

一方、再保険会社は再保険専業が多く、裏方に徹しているため一般の方には知名度が低く、ほとんど知られていません。再保険会社は世界のいくつかのエリアに集中しており、いわゆる再保険マーケットを構成しています。ロンドン(ロイズマーケット)、バミューダ、シンガポールが再保険マーケットの3大拠点です。

日本資本ではトーア再保険株式会社が唯一の再保険専業の保険会社ですが、いくつもの外資系再保険会社が日本で営業しています。

再保険には大きく分けて、特約再保険(Treaty Reinsurance)と任意再保険(Facultative Reinsurance)の2種類があります。

特約再保険は保険会社が引き受ける一定以上のリスクは自動的に再保険会社が引き受ける契約を結んでいるもので、日本の保険会社は全て何らかの特約再保険を契約しています。特約再保険を契約することにより保険会社は自社の財務体力を超えるリスクの引き受けが可能になります。保険会社にとっては個別にいちいち再保険会社に問い合わせることなく、自動的に再保険手配がされているので、事務工数もかからず便利な仕組みです。

一方、任意再保険は個別の案件ごとに保険会社が再保険会社と交渉して再保険契約を締結するもので、特約再保険を超えるような巨大リスクや特殊リスクに対応します。保険会社によってはあまり積極的に任意再保険を活用していないところもあります。

今回は、企業にとって保険加入が困難な特殊なリスクでも、任意再保険を活用することによって保険によるリスクヘッジが可能であるということを説明していきましょう。