2020/10/31
独自調査
最も力を入れている対策は損害保険
リスク対策.comは、風水害に対して企業などの組織がどの程度備えているかを把握するため、10月5〜12日の1週間、リスク対策.comメールマガジン購読者に対して「組織における風水害対策とBCPに関する調査」を実施し374件の有効回答を得た(総回答数470件)。
その結果、最も力を入れている対策は「損害保険の加入」で、次いで「大雨前後の従業員への注意喚起」「帰宅困難社員の対策」の順となった。また、各対策の取り組みレベルについては、過去の被災経験と有意な差は見られなかったものの、本社や自社施設の被災を前提に対策に取り組んでいる組織とそうでない組織については、明らかな差が表れた。
BCPの取り組みについては、策定済みが61%、策定中が16.8%と、内閣府が隔年で行っている事業継続の取り組みに関する調査とほぼ同じ結果となり、策定企業のうち5割強が定期的に見直しをしていることが明らかになった。回答組織は製造業が最も多く、規模別では100〜500人が最も多かったが、大企業から中小企業まで幅広い層から回答を得た。地域別では東京に本社を置く組織の回答が6割近くを占めた。
今号では、風水害対策に関する取り組み調査について結果を解説する。
本社以外の自社施設では30%以上が被災経験
調査ではまず、本社や本社以外の自社施設、従業員の自宅、さらには主な取引先や顧客の被災経験を聞いた。その結果、本社については、過去に被災経験があるとしたのは全体の約10%だったのに対し、本社以外の自社施設では35%、従業員の自宅や主な取引先については40%を超えた【グラフ1】。質問は、浸水または土砂による被害と停電被害を分けて聞いたが、停電による被害についても大きな変化は見られなかった。
回答者の23%が事業中断の経験
次に、過去の災害による事業中断の経験を聞いたところ、「3カ月以上」中断した経験があるとした回答が1.3%、「1カ月以上3カ月未満」が2.4%「1週間以上1カ月未満」が1.6%、「1週間未満」が17.7%で、全体の23%が事業中断を経験していることが分かった【グラフ2】。
中断経験のある業種は、製造業が最も多く、卸・小売り、情報通信、専門サービス業、教育・研究機関でも散見された。製造業は有効回答121件のうち中断経験ありとした割合は35%、専門サービス業は24%となった。教育・研究機関は総回答数が10件と少ないが50%が事業中断の経験があると回答した。
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