合意性のある意思決定のもと、大会までのロードマップを示せ

もちろん、これらは、オリンピックの申請書ということで、安全性をPRする内容になっていることは容易に推察できる。本来リスク分析とは発生確率と影響度から算出すべきものだが、発生した際の影響度まではこの時点では触れられていない。ただし、ドローンの首相官邸への落下、新幹線内での焼身自殺、韓国でのMERSの感染拡大、火山噴火など、ここ最近発生している災害や事故を考えれば、悠長に構えているわけにはいかない。申請書には記されていない地下鉄サリン事件などの脅威があることや、イスラム国と称する国が日本を名指しにして攻撃を予告していることも忘れてはならない。 

闇雲に脅威を煽ろうというのではない。開催決定が決まった今、改めて起こり得るあらゆる脅威について検証し、どのリスクに対しどのような対策が必要なのか、あるいは逆に、受容できるリスクはないのかを検証し、合意性のある意思決定のもと、大会までのロードマップを示すことが求められる。

(了)