【アンカラ時事】トルコ大統領選で、北大西洋条約機構(NATO)加盟国の中で最も長く首脳を務めるエルドアン大統領が続投を決めた。ぎくしゃくした対米関係は今後も続きそうで、引き続きNATO加盟国でありながらロシアとの関係を重視する独自の外交方針を維持する見通しだ。
 当面の焦点はスウェーデンのNATO加盟申請を巡る問題だ。トルコは昨年同時に手続きが始まったフィンランドの加盟を既に容認したものの、スウェーデンについては「(トルコにとっての)テロ組織を国内で自由に活動させている」(エルドアン氏)と訴えて難色を示している。米国などは、7月のNATO首脳会議を前に両国が歩み寄って妥結に至ることを望んでいる。
 対米関係では、ロシアの地対空ミサイルシステム「S400」導入を理由にトルコは米最新鋭ステルス戦闘機F35の共同開発計画から排除された。トルコで2016年に起きたクーデター未遂事件の絡みでは、トルコ当局が求める在米イスラム指導者のギュレン師の身柄引き渡しに米側は応じていない。
 一方、ウクライナ情勢を巡り、エルドアン政権はロシアとウクライナの間で停戦に向けた仲介を続けてきた。これまでの実績は穀物輸出合意などに限定されており、引き続き双方に対話を呼び掛けていく方針だ。
 日本を含む先進7カ国(G7)はウクライナ侵攻を続けるロシアに厳しい態度を取り、インドなど「グローバルサウス」にも同調を呼び掛けている。トルコはウクライナ情勢への対応を含めた外交舞台で「グローバルサウス各国と関係を深め、米欧側と結び付ける役割も果たしていく」(政権寄りコラムニスト)方針とされ、今後の動きが一層注目されることになりそうだ。 
〔写真説明〕トルコのエルドアン大統領(左)とロシアのプーチン大統領=2022年10月、アスタナ(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)