陸上自衛隊での性被害を告発した元自衛官の五ノ井里奈さん(23)が、国と元隊員5人=懲戒免職=に計750万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が14日、横浜地裁(岡田伸太裁判長)であった。国は大筋で認めたが、元隊員らは争う姿勢を示した。
 原告側によると、元隊員5人のうち4人は性的暴行の事実を争う方針。国側は事実関係をおおむね認めつつ、請求の趣旨をより明確にするよう求めた。
 訴状によると、五ノ井さんが所属していた陸自郡山駐屯地の部隊では、日常的にセクハラや性的暴行が横行。五ノ井さんは2021年8月、北海道の演習場で元隊員3人に押し倒されて下半身を押し付けられ、退職を余儀なくされた。
 退職後、五ノ井さんは実名で被害を告発。陸自は22年9月、事実関係を認めて謝罪し、関与した5人を懲戒免職とした。うち4人は五ノ井さんに直接謝罪した。
 五ノ井さんは弁論後に取材に応じ、「本当にひどい答弁書だ。あの謝罪は何だったんだろうという思いだ」と語った。
 演習場での性被害を巡っては、福島地検が3人をいったん不起訴としたが、検察審査会が「不起訴不当」を議決したのを受け、今年3月に強制わいせつ罪で在宅起訴。初公判が今月29日に福島地裁で予定されている。 

(ニュース提供元:時事通信社)