大阪北部地震の発生当時、大阪府危機管理監として対応に当たった大江桂子氏(65)が18日までに、時事通信のインタビューに応じた。阪神大震災を契機にハード面の対策が向上したことで建物の被害が抑えられたと評価した上で、「住民の備えという意味ではまだまだ途上だ」と述べ、個人レベルでの防災の重要性を訴えた。
 最大震度6弱の北部地震では府内で約5万8000棟の住宅が被害を受けたが、99%は「一部損壊」にとどまった。大江氏は橋や道路の寸断、家屋の多数全壊といった被害を覚悟したが甚大化は免れた。「1995年の阪神大震災以降、二十数年間の耐震化の成果が表れたのではないか」と話した。
 インフラの耐震化や非常電源の整備など、ハード面の対策が進んだ一方、家具の転倒や食器の破損など、日ごろの備えで防げる被害も多かったという。「ソフト面では必ずしも教訓が継承されていない」と強調する。
 南海トラフ地震など、将来的な災害リスクが指摘される中、「(行政職員は)他県で被害があった時は率先して応援に行き、学びを継続する必要がある」と話す。住民についても「家の中のことは行政ではできない。自分の事として対応してもらわないといけない」と訴えた。
 府では地域防災計画の見直しを担当するなど、災害対応に携わる機会が多かった大江氏。退職後は日本赤十字社大阪府支部で事務局長を務め、避難時の持ち物などの啓発活動にも力を入れているといい、「住民の防災や安全に少しでも貢献できれば」と語った。 
〔写真説明〕インタビューに応える元大阪府危機管理監の大江桂子さん=13日、大阪市中央区

(ニュース提供元:時事通信社)