現在の東京都を中心に10万人超の死者・行方不明者を出した1923(大正12)年の関東大震災から100年となる1日、政府は首都直下地震を想定した総合防災訓練を行った。岸田文雄首相をトップに全閣僚が参加する緊急災害対策本部を設置。首相官邸で会議を開き、各省庁の対応を確認したほか、オンラインで被災自治体の状況を把握し、初動対応を確かめた。
 関東大震災では午前11時58分、相模湾を震源とするマグニチュード(M)7.9の地震が発生。死者の9割近くは火災によるもので、住宅被害は約37万棟に及んだ。当時の政府の対応を巡っては、内務省と警視庁の本庁舎が全焼したことなどで初動の遅れも指摘されている。政府は60年、9月1日を「防災の日」と定め、毎年この日に大地震を想定した訓練を行っている。
 訓練は、午前7時10分ごろ東京23区を震源とするM7.3の地震が発生し、23区で震度7、埼玉県、千葉県、神奈川県などで同6強を観測したと想定。閣僚らは徒歩などで首相官邸に参集した。対策本部会議では、テレビ会議で本村賢太郎相模原市長が国に支援を求め、首相は「最大限の人員と資機材等を投入する」と応じた。
 会議の後、首相は訓練の一環で記者会見。災害対策基本法に基づく災害緊急事態の布告を報告し、国民に「安全な場所に避難・退避するなど命を守る行動を取ってほしい」と呼び掛けた。
 その後首相らは相模原市へ移動し、同市を震源とする最大震度6強の地震を想定した9都県市の防災訓練を視察した。省庁や自衛隊など約140の団体・機関から約2600人が参加。航空機を使った救援物資輸送訓練や、市民らも参加してバケツリレーによる消火訓練などを行った。 
〔写真説明〕総合防災訓練の緊急災害対策本部会議で、発言する岸田文雄首相(右)。左は谷公一防災担当相=1日午前、首相官邸
〔写真説明〕総合防災訓練で記者会見する岸田文雄首相(右奥)=1日午前、首相官邸
〔写真説明〕9都県市の防災訓練に参加した岸田文雄首相(右から2人目)=1日午前、相模原市
〔写真説明〕9都県市による防災訓練=1日午前、相模原市

(ニュース提供元:時事通信社)