原発の重大事故を想定した政府の原子力総合防災訓練が28日、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の周辺などで前日に引き続き行われた。午前中に岸田文雄首相が官邸で原子力緊急事態を宣言し、住民避難などに関する政府や自治体の対応手順を確認。午後からは、新潟県内で雪害などの複合災害を想定した机上訓練や放射線量を測定するドローンの飛行訓練を実施した。
 訓練は27日開始。同日午後、上中越沖を震源とする地震が起き、柏崎市と刈羽村で最大震度6強を観測して運転中の柏崎刈羽原発7号機で冷却機能が失われ、炉心損傷で放射性物質が外部に放出された想定で行われた。
 岸田首相は28日午前、首相官邸で開かれた原子力災害対策本部の模擬会合で「事故の拡大防止と早急な事態の収束、地域住民の安全確保が何よりも重要だ。関係機関と緊密に連携しながら、政府一丸となって対応する」と述べた。
 柏崎市では、この日予定されていた無人機の飛行は強風のため中止となり、ドローンや無人ヘリによる訓練が行われた。新潟県によると、ドローンと無人ヘリが政府の原子力総合防災訓練で使われたのは初めてだという。 
〔写真説明〕訓練で飛び立つドローン=28日午後、新潟県柏崎市
〔写真説明〕原子力総合防災訓練で発言する岸田文雄首相(左から4人目)=28日午前、首相官邸

(ニュース提供元:時事通信社)