日印経済委員会委員長を務める安永竜夫三井物産会長は30日、東京都内で開かれた内外情勢調査会で講演した。安永氏はインドについて「日本の大事なパートナーであり、ビジネスチャンスの国」と強調。ビジネス環境の整備は不十分としながらも「課題以上に成長機会が多い」と述べ、企業の積極的なインド進出を呼び掛けた。
 安永氏はインドの強みについて、世界最多の人口やデジタル人材の豊富さを列挙。米中対立やロシアのウクライナ侵攻を背景に、「国際的な存在感を高めている」と指摘した。
 インドは弱点である製造業の強化を目指しており、日本も今後5年間で官民合わせ5兆円をインドに投資する方針を決めている。ただ、日本企業の対印投資は近年停滞。複雑な税制や時間のかかる行政手続きなど、事業環境が一因とみられる。
 安永氏は、モディ政権下で環境改善が進んでいることを説明するとともに、「製造業を強化したいインドと、デジタル人材を必要とする日本は相互補完できる」と説明。「モディ政権の今がチャンス。日本企業が進出して存在感を示すことが、ビジネス環境改善にもつながる」と主張した。
 安永氏は2021年から、日本・東京商工会議所が事務局を担う日印経済委員会の委員長を務める。23年5月には経団連の南アジア地域委員会共同委員長に就任した。 

(ニュース提供元:時事通信社)