五ノ井里奈さん(24)は12日、当時の上司の元陸上自衛隊員3人が福島地裁で有罪判決を受けた後、地裁前で取材に応じた。「性被害を受けても声に出せない人は多くいる。判決を機に『悪いことは悪い』と我慢せず声を上げられる社会になってほしい」と訴えた。
 五ノ井さんは被害者として裁判に参加。対面で謝罪しながらも公判では一転して無罪を主張した3人に対し、「自分たちの大切な人が同じことをされたらどんな気持ちになるか考えてほしい」と呼び掛けてきた。
 これまでの公判について、「自らの口で話すことで被告らが反省してくれると思い、参加を続けた。今回の裁判は社会を良い方向に変えるためのもので、自分一人の闘いではなかった」と振り返った。執行猶予付き判決を受けた3人には「刑の重さそのものより、自分たちのしたことは犯罪なんだということを自覚し、心から反省してほしい」と語った。
 かつて所属していた自衛隊については、「東日本大震災の時に助けてもらったことなどは今でも感謝している」と話した上で、「だからこそ隊員一人一人を大切にし、尊厳を傷つけるような行為が起きない組織になってほしい」と求めた。 
〔写真説明〕元陸自隊員3人の有罪判決を受け、取材に応じる五ノ井里奈さん(左)=12日午後、福島市

(ニュース提供元:時事通信社)