【イスタンブール時事】イランの精鋭部隊、革命防衛隊は16日、隣国イラクとシリア領内を弾道ミサイルで攻撃したと明らかにした。イラクでは北部クルド人自治区アルビル近郊の「イランに対する諜報(ちょうほう)活動とテロ計画の拠点」を標的にしたと表明。イスラエルの対外情報機関モサドの拠点を破壊したと主張した。
 イラクのメディアによると、空爆は15日深夜に行われ、民間人4人が死亡した。イラン外務省報道官は16日、「テロに対抗し、主権と安全を守る軍事行動だ」と正当化。一方、イラク政府とクルド自治政府は「主権侵害」と反発し、駐イラン大使の召還を決めた。
 革命防衛隊は、空爆は「司令官らを殉教させたシオニスト(イスラエル)の悪に対する反応だ」と強調した。革命防衛隊の上級軍事顧問が昨年12月、シリアでイスラエルからのミサイル攻撃で死亡し、イランは「イスラエルは犯罪の代償を必ず払う」(ライシ大統領)と報復を宣言していた。
 アルビルには米軍部隊も駐留しているが、米軍関連施設への被害は確認されていない。AFP通信によると、米国務省報道官は「無謀な攻撃」と非難した。 
〔写真説明〕16日、イラク北部のクルド人自治区アルビルで、ミサイル攻撃の被害を受けた住宅(AFP時事)
〔写真説明〕イラン南東部ケルマンで起きた爆発で損壊した車両=3日(EPA時事)

(ニュース提供元:時事通信社)