【カイロ時事】イスラエル軍は15日、パレスチナ自治区ガザ南部ハンユニスで最大規模のナセル病院に部隊を突入させた。軍報道官は「精密かつ限定的な作戦だった」と主張。しかし、現地で活動する国際医療団体「国境なき医師団」は複数の死者が出たと報告しており、イスラエルの強硬姿勢に批判の声が上がっている。
 軍報道官は、イスラム組織ハマスが「ナセル病院で人質を拘束しているとの確度の高い情報があった」と説明した。病院周辺ではここ数日、軍とハマスとの間で戦闘が激化していた。
 ガザ保健当局は、この戦闘の影響で、病院内にいた数千人の避難民が院外への退避を余儀なくされたと発表。病院が「破滅的状況」に陥り、遺体の安置所への移動もできなかったと主張した。また、電力供給が止まり酸素吸入が停止したため、患者5人が死亡したと明かした。
 イスラエル軍は16日、前日の作戦でガザ全土に空爆を加えたと発表。地上部隊の作戦も北部から南部まで全域で続け、多数のハマス戦闘員を殺害したと説明した。ガザ保健当局は、過去24時間でパレスチナ人112人が死亡し、累計死者数は2万8700人以上になったと公表した。 
〔写真説明〕15日、イスラエル軍の攻撃を受けてパレスチナ自治区ガザ南部ハンユニスのナセル病院から退避した患者(ロイター時事)

(ニュース提供元:時事通信社)