【ミュンヘン時事】ドイツで18日まで開かれたミュンヘン安全保障会議では、イスラエルやアラブ諸国の高官らが登壇し、パレスチナ自治区ガザ情勢に言及した。イスラエル軍によるガザ最南部ラファへの本格侵攻の可能性が強まる中、同日登壇したパレスチナ自治政府のシュタイエ首相は「即時の停戦」を訴えた。
 シュタイエ氏は、ガザ侵攻で多数の死傷者が出ているとし、「170万人が追い立てられたラファにイスラエル軍が迫っている」と犠牲者の拡大に強い懸念を示した。イスラム組織ハマスのイスラエル襲撃に対する見解を問われると「もちろん市民殺害は容認できないが、パレスチナの苦しみは(イスラエル建国の)1948年から始まっている」と反発し、歴史的な経緯があると強調した。
 ハマス壊滅を目指すイスラエルのヘルツォグ大統領は17日、「テロ組織のネットワークを根絶するには、物理的な対応が必要だ」と侵攻の正当性を主張した。「市民の犠牲を最低限に抑えるよう努めている」と述べつつ、ガザの民家で兵器が見つかるため、市街地での軍事行動は避けられないと説明。結果として「意図せぬ悲劇が起きる」と語った。
 戦闘休止に向けた交渉に関わるカタールのムハンマド首相兼外相は17日、「交渉はここ数日、期待通りに進んでいない。まだ立場に隔たりがある」と認めた。ベーアボック独外相は、イスラエルとパレスチナが平和的に共存する「2国家解決」の実現は、「ハマスによるイスラエル襲撃が二度と起きないこと」が前提条件だとの見解を示した。会議は18日、3日間の日程を終えた。 
〔写真説明〕18日、ドイツ南部ミュンヘンで演説するパレスチナ自治政府のシュタイエ首相(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)