地方公務員らでつくる労働組合の自治労中央本部(東京都千代田区)が昨年3月、地方組織の労務管理の実態を調べたところ、25道府県本部が書記(職員)と残業時間の上限を定める労使協定(三六協定)を締結していなかったことが18日、分かった。10県では就業規則も定めておらず、中央本部は法令順守の徹底を求めるとともに、近く再調査を実施する方針だ。
 関係者によると、中央本部は昨年3月、47都道府県本部と日本年金機構の職員らが加入する社会保険関係労働組合連合(社保労連)を対象に初めて調査を実施。県本部などで働く職員について、就業規則や三六協定の有無、ハラスメント対応などを確認した。
 その結果、三六協定を締結していたのは、新潟や長野、愛知、兵庫など22都府県本部と社保労連にとどまり、青森や宮城など10県本部は就業規則が定められていなかった。
 職員の健康診断は全ての地方組織で実施していたが、ハラスメント相談窓口を設置していたのは16都道府県本部だけだった。
 労働基準法では、法定外の残業をさせるには三六協定を締結しなければならず、常時10人以上の労働者を使用する際は就業規則も必要になる。中央本部は職員数にかかわらず、就業規則を策定するよう求めている。
 中央本部は昨年9月、県本部などに対し、法令順守の徹底を要請。改善されたか確かめるため、今年3月に取り組み状況などを改めて調査するという。
 自治労を巡っては、鳥取県本部が昨年3月、三六協定を結ばずに職員に残業をさせたなどとして、鳥取労働基準監督署から是正勧告を受けた。
 中央本部の伊藤功書記長は取材に対し、三六協定の締結状況などの調査結果について「外部に公表することを前提としていないため答えられない」としている。
 自治労は1954年結成。連合傘下の産業別労働組合で、組合員数は2022年8月時点で約74万人に上る。 
〔写真説明〕自治労中央本部がある自治労会館=1月31日、東京都千代田区

(ニュース提供元:時事通信社)