いずれ大雨・洪水が常態化するような時代になるのか(イメージ:写真AC)

■大雨・洪水は増えている

気象庁によると、大雨の年間発生回数は有意に増加しており、より強度の強い雨ほど増加率が大きくなっているという。1時間降水量80ミリ以上、3時間降水量150ミリ以上、日降水量300ミリ以上など強度の強い雨は、1980年頃と比較しておおむね2倍程度に頻度が増加しているのだ。

夏場には毎日のようにどこかでゲリラ豪雨が発生している(イメージ:写真AC)

これは私たち自身が実感していることでもある。夏場にはゲリラ豪雨や線状降水帯、竜巻、ひょうなどが毎日のようにどこかで発生し、街中があっという間に冠水している様子などをニュースで見ている。大雨が増えている要因として、近年日本周辺の海面水温が温暖化の影響で異常に高くなっていることがあげられる。海面から立ち上る水蒸気のエネルギーが、強烈な台風や線状降水帯の発生と無関係であるとは言い切れない。

近年は気候変動の研究が進み、異常気象と地球温暖化がより密接に関係していることがわかるようになった。最も有名なのはイベントアトリビューションと呼ばれる気候モデルによる解析で、温暖化が極端な気象現象の頻度や激しさをどの程度変化させたかを定量的に推定することによってその関係性が見えてくるという。

この数値シミュレーションの結果、近年の顕著な災害をもたらした異常気象について、一定程度は地球温暖化の影響があったことがわかっている。例えば「令和元年東日本台風」の場合、1980年以降の気温が1℃上昇したことにより、総降水量が10.9パーセント増加したものと評価されている。また「平成30年7月豪雨」については、50年に1度の大雨の発生確率が地球温暖化によって約3.3倍になったことによるものであり、同月の猛暑についても温暖化がなければ起こり得なかったと結論付けられている。