能登半島地震で壊滅的な被害を受けた石川県珠洲市では、ほぼ全域の約4700世帯で断水が続く。病院や避難所への給水は3月上旬に本格化する見込みだが、市内の水道管の総延長は約300キロに及び、点検を終え、各戸に給水できるようになるまでにはまだ時間がかかる。
 珠洲市では、人口の9割をカバーする宝立浄水場が損壊したが、修復作業が終了。病院や避難所、市役所などは、配水管の確認作業で漏水がなければ、3月上旬にも給水が再開される見込みだ。
 だが、各家庭に続く配水管については、被害の全容が分かっていない。市によると、浄水場から離れた海岸線沿いや山間部にも集落が点在しており、作業が長期化している。
 水道管の耐震化が済んでいなかったことも影響しているという。日本水道協会のまとめでは、地域ごとに想定される最大規模の地震に耐えられる「耐震適合率」は、全国平均(2021年度時点)の41・2%に対し、石川県は36.8%で、珠洲市は36・2%にとどまった。
 市の担当者は「耐震化の課題は認識している。ただ、財政的な問題も大きく、技術職員の数も足りない」と話す。
 生活排水を流す下水管は、全長104キロのうち、約98キロが被害を受けた。3月以降、順次復旧する見込みという。 
〔写真説明〕断水が続く石川県珠洲市で設置された仮設の送水管=22日
〔写真説明〕断水が続く石川県珠洲市で設置された仮設の送水管(左)=22日
〔写真説明〕断水が続く石川県珠洲市で行われている水道管の復旧作業=22日

(ニュース提供元:時事通信社)