公安調査庁は29日、国内外の治安情勢に関する2024年版「内外情勢の回顧と展望」を公表した。北朝鮮の動向について「ロシアとの関係を大幅に強化し、武器・砲弾取引を示す動きも本格化した」と指摘。「わが国の安全保障環境にも大きな影響を及ぼす可能性がある」と警鐘を鳴らした。
 具体的には、ロシアのショイグ国防相による昨年7月の訪朝後、ロ朝国境間を往来するコンテナが急増したことに言及。「軍事力の強化に資する技術や装備をロシアから導入する狙いがある」と分析した。
 日朝関係については、拉致問題は「解決済み」と主張する北朝鮮の立場に変化はみられなかったとした。今後、11月の米大統領選を控えて大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射などの軍事挑発が活発化する可能性を指摘した。
 ロシアが9月3日を「対日戦勝記念日」と定めたことに関し、「国民の団結を図るため、今後も『対日戦勝』への貢献を国内外にアピールする可能性がある」と記した。中国については、若者の雇用情勢悪化や不動産業界の不振などを不安定要因に挙げた。
 国内情勢では、オウム真理教の後継団体「Aleph(アレフ)」などが若い世代をターゲットに勧誘活動を行っていると注意喚起した。 
〔写真説明〕公安調査庁が入る中央合同庁舎6号館=東京都千代田区

(ニュース提供元:時事通信社)