2024/04/01
防災・危機管理ニュース
中国が、人工的に雨を降らせる「人工降雨」を積極的に活用している。水不足の地域に雨を降らせるケースが多いが、大規模イベントの際に雨雲を取り除くのに使われることもある。2025年には国土の6割近くに当たる550万平方キロメートル以上で実施できるようにする計画だ。
「良いマラソン日和だった」。湖北省武漢市で3月24日に開催された「武漢マラソン」を完走した30代の男性ランナーは顔をほころばせた。前日時点で大雨も予想されていたが、大会中は雨は降らなかった。省や市は人工降雨の実施の有無を明らかにしていないものの、地元企業関係者は「実施はほぼ間違いない」と断言する。
中国政府は20年に、農業の振興や森林火災の抑止を目的に人工降雨を活用していく方針を決定した。23年には、技術の向上で「顕著な成果」が得られたと強調。穀倉地帯の東北部では降水量が3割近く増え、新疆ウイグル自治区の綿花畑ではひょうの被害を7割以上減らせたという。
ただ、人工降雨を巡ってはコストとの兼ね合いなど課題も残っている。中国メディアによると、上海で実施された際は、1回当たり470万元(約1億円)かかった。雨を降らせるために使われる物質であるヨウ化銀には弱い毒性があり、大規模に利用した場合の人体や環境に与える影響は未知数だ。ある地域で雨を降らせたことにより、別の地域が水不足に陥る恐れもある。このため、中国の取り組みを「壮大な社会実験」(北京の日系メーカー関係者)と評する向きもある。
〔写真説明〕「武漢マラソン」当日の様子。開催中に雨が降らなかった=24日、中国湖北省武漢市
(ニュース提供元:時事通信社)
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月23日配信アーカイブ】
【4月23日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:南海トラフ地震臨時情報を想定した訓練手法
2024/04/23
-
-
-
2023年防災・BCP・リスクマネジメント事例集【永久保存版】
リスク対策.comは、PDF媒体「月刊BCPリーダーズ」2023年1月号~12月号に掲載した企業事例記事を抜粋し、テーマ別にまとめました。合計16社の取り組みを読むことができます。さまざまな業種・規模の企業事例は、防災・BCP、リスクマネジメントの実践イメージをつかむうえで有効。自社の学びや振り返り、改善にお役立てください。
2024/04/22
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月16日配信アーカイブ】
【4月16日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:熊本地震におけるBCP
2024/04/16
-
調達先の分散化で製造停止を回避
2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町。オフィス家具を製造するホリグチは真備町内でも高台に立地するため、工場と事務所は無事だった。しかし通信と物流がストップ。事業を続けるため工夫を重ねた。その後、被災経験から保険を見直し、調達先も分散化。おかげで2023年5月には調達先で事故が起き仕入れがストップするも、代替先からの仕入れで解決した。
2024/04/16
-
工場が吹き飛ぶ爆発被害からの再起動
2018年の西日本豪雨で隣接するアルミ工場が爆発し、施設の一部が吹き飛ぶなど壊滅的な被害を受けた川上鉄工所。新たな設備の調達に苦労するも、8カ月後に工場の再稼働を果たす。その後、BCPの策定に取り組んだ。事業継続で最大の障害は金属の加温設備。浸水したら工場はストップする。同社は対策に動き出している。
2024/04/15
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方