【ラスベガス時事】米グーグルは9日、ネバダ州ラスベガスで開いたクラウド事業のイベントで、自社の生成AI(人工知能)の基盤モデル「ジェミニ」を前面に押し出した。顧客企業の業務効率化を後押しし、さまざまなAIモデルを使ったアプリ作成を支援するサービスも充実させ、シェアで先行するアマゾン・ドット・コムとマイクロソフト(MS)の米2強を追い上げる構えだ。
 「ジェミニ1.5プロで動画なら1時間分、音声なら11時間分、単語なら70万個分のデータを1回で処理できる」。クラウド部門のクリアン最高経営責任者(CEO)は基調講演で、最新の汎用(はんよう)モデルの性能をアピールした。「1.5プロ」は一般向け試験提供も始まった。
 ジェミニは文章だけでなく、動画や画像、音声も理解し、回答する複合型の生成AIモデル。この特長を生かし、業務効率化サービス「ワークスペース」では6月から、動画生成アプリ「Vids(ビッズ)」の試験提供を始める。また、クラウド基盤にも、ジェミニによるセキュリティー強化などの機能を加えた。
 顧客企業がAIアプリを開発できるサービスも拡充させた。クラウド上でジェミニだけでなく、他企業のものも含めて130以上のAIモデルを利用できる。顧客企業の保有データと組み合わせ、対話アプリなどを作る取り組みを促す。
 米シナジーリサーチグループによると、2023年10~12月のクラウド市場シェアはアマゾンとMSで半数を握る。グーグルは1割にとどまるが、世界の企業によるクラウド支出が前年同期比20%増える中、シェアを1ポイント伸ばした。生成AIブームが寄与したとされ、今回のイベントを成長加速の起爆剤にしたい考えだ。 
〔写真説明〕米グーグルのクラウド部門のクリアン最高経営責任者(CEO)=9日、米ネバダ州ラスベガス

(ニュース提供元:時事通信社)