石巻市の白謙蒲鉾店

株式会社白謙蒲鉾店(本社:宮城県石巻市)は事業継続マネジメントシステムの国際規格であるISO22301の認証を取得した。

東日本大震災で大きな被害を受けた石巻市で初めての取得。3月4日に石巻市役所で行われた認証授与式において代表取締役社長の白出征三氏は「震災で生き残った者の責任として、国際規格であるISO22301を通しリスクマネジメントを研究し、お客様により安全・安心で満足して頂ける商品を提供していきたい」と今後の抱負を語った。

白謙蒲鉾店の創業は大正元年。笹蒲鉾をはじめ各種練り物、揚げ物の製造販売し、100年以上続いている老舗だ。従業員数は178名。東日本大震災では沿岸部にあった工場だけでなく市内中心部にある本店にも旧北上川を遡上する津波で大量の海水と土砂が流れ込み、製造ラインを含め大きな被害を受けた。しかし、震災当日に勤務していた従業員はすぐに避難し無事だった。4月13日には本社での営業を再開させた。

同社は石巻市や仙台市などの東北地方に限らず、首都圏でも銀座三越、池袋にある宮城ふるさとショップなどで商品を販売しているが、震災の影響は現在でも残り、一部の製品は販売に至っていない。

黒潮と親潮がぶつかり合う豊かな三陸沖漁場から水揚げされる魚を原料に、水産加工業の盛んな石巻市だったが、現在までに事業を再開した会社は関連産業なども含めると54%と厳しい状況が続く。亀山紘石巻市長は「震災後にいち早く再建し、復興に大きく貢献されました。白謙蒲鉾店がISO22301を取得したことで、産業復興のモデルになることを期待したい」と語った。

ISO22301の取得は、PDCAサイクルを継続的に回し、従業員の生命を守り続けることが最大の理由。災害に対してただ逃げるのではなく、体制を整え「迎え撃つかまえ」と白出征三氏は説明する。認証サービスを提供し、白謙蒲鉾店の事業継続マネジメントシステムを審査したBSIグループジャパンの代表取締役社長である竹尾直章氏は「卓越した経営陣のリーダーシップはもちろん、従業員がこれほどの高い意識を持ってシステムの構築と運用に取り組まれている例は他にはないと」と評価した。