平成30年7月豪雨で被災した岡山県倉敷市真備町(編集部撮影)

今回は災害ケースマネジメントのお話です。災害ケースマネジメントという言葉を聞かれたことはありますか?

以下の話の内容は、岡山で一緒に講演させていただいた時に弁護士の津久井進先生からお聞きした内容が元になっていますので、スライドも随時使用させていただいています。

弁護士/津久井進氏
日本弁護士連合会災害復興支援委員会委員長
一人ひとりが大事にされる災害復興法をつくる会共同代表
弁護士法人 芦屋西宮市民法律事務所
http://ancl.o.oo7.jp/index.html
出典:津久井進先生の講演資料

災害ケースマネジメントとは、ざっと言えば、災害時も介護福祉で実施されているケアマネのように、きめ細かく被災者の状況に寄り添って、生活再建のお手伝いをしていこうという制度で、これからの災害支援のあるべき姿と言われています。

ところで、ここであたりまえのように「被災者」という言葉を使いました。でも、驚いたことに、この「被災者」についての定義が日本にはないのですって!

だから、被災した方々が被災した後、必ずおっしゃるあのセリフがでてくるのかもしれません。支援に入った方は聞かれたことがあるのではないでしょうか?「私はあの人に比べたら被害がたいしたことがないので、被災者ではない」というセリフです。どうみても大変そうなのに、みなさん、こうおっしゃいますよね。「私などは、被災者とはいえない」って。

では、被災者って誰なのでしょう?UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)やUNDP(国連開発計画)などが常設メンバーとして加盟する、人道政策における世界的な機関間常設委員会であるIASCによると、被災者とは、「避難を強いられたか否かを問わず特定の災害の負の影響を被った人々」となっています。

■緊急・人道支援国際機関を通じた援助用語説明(外務省)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jindo/jindoushien2_2y.html

被害が他の人より少なくても、災害で負の影響を被ったら被災者ですので「わたしは被災者ではない」とおっしゃる方もこの定義だと被災者に含まれます。

出典:津久井進先生の講演資料

ついでに、災害の定義には、コミュニティや社会の機能の混乱も入っていますね。

国際的には、支援が必要な人である「被災者」の定義は広いという事をまずは前提として知っておいてください。そして、被災された方は遠慮されて「被災者ではない」とおっしゃいますが、多くの人が感じる「被災者」のイメージに、この定義は合致しているようにも思うのですがいかがでしょうか?

出典:津久井進先生の講演資料