非常災害対策総本部が置かれる本店のある大阪市の関電ビルディング

自力復旧困難な山間部

4日には復旧活動にとりかかり、10日の午前0時段階で99%の復旧が終わった。街中に関しては1カ所の修理で多くの場所に電気が通るケースが多い。ところが「残り1%については山間部が中心。土砂崩れや倒木があり、障害物の除去活動で地方自治体などの協力をえなければならない箇所が多かった」と振り返るのは総務室防災グループマネジャーの坪田範久氏。全ての停電を解消したのは被害発生から17日目となる20日の午後5時51分。翌21日の午後5時にようやく非常災害対策総本部を閉鎖することができた。

阪神・淡路大震災では発災からほぼ1週間の153時間で全て復旧している。「震災の停電エリアは主に大都市部で、『点』の対応で復旧した。今回の台風21号は『面』の被害。山間部まで広がった台風による停電の復旧は大変時間がかかった」と停電軒数がより多かった阪神・淡路より復旧に時間がかかった理由を坪田氏は分析した。非常災害対策総本部では復旧にあたって被害が少なかった京都府北部や兵庫県北部から人員を被災エリアに送り、食事や宿泊の手配といった後方支援を行った。

復旧以外に問題となったのは停電情報の発信。停電情報システムの停止でホームページからの情報発信ができなくなったことで、顧客からコールセンターへ問い合わせの電話が殺到しパンク状態となった。関電に電話つながらなくなり、自治体にまで問い合わせが増え、さらに自治体が情報を求めて関電に問い合わせる悪循環に陥ったという。関電の非常災害対策総本部ではコールセンターの数百単位の回線と人員を増強。SNSによる情報発信も行った。自治体にはリエゾンを派遣し、報告をした。