■「災害関連死ゼロフォーラム 第1回全国大会シンポジウム」概要

2018年10月15日に東京都新宿区の京王プラザホテルで初めて開催した本全国大会シンポジウムでは、避難所や避難生活で災害関連死をなくすためにどうするかをメインテーマとし、3つの専門セッションを行いました。

 
 
 

特に心がけた点として、何か一つでも具体的な気づきや対策として進められるアクション部分を生み出せるようにセッションの組み立てを行いました。そのために本フォーラムでは、個別対策を検討するための「会議・研究会制度」を設けています。

具体的に(1)被災地の実態は避難所・避難生活研究会が担当し、避難所や避難生活を行える人づくりを目指して「さすけなぶる」と呼ばれる避難所運営シミュレーションによる学習や、「避難所再現エリア」による具体的なイメージ醸成を行いました。(2)環境衛生は防災衛生会議が担当し、「防災衛生パーソナルキット」による個人でできる脱水状態や感染症への対策方法をお伝えしました。(3)生活継続は発起・共催団体である地域防災支援協会と日本環境保健機構が担当し、災害復興法学IIなどの各種書籍を基に、制度上の多角的な側面でお伝えしました。


「災害関連死ゼロフォーラム 第1回全国大会シンポジウム」の様子(出典:YouTube)

■今後に向けて

今回の全国大会シンポジウムでは、避難所や避難生活という側面から、3つのセッションに絞って皆様と一緒に具体的な対策のアクションを進めるきっかけ作りを行うことができました。この機会を通じて私が最も強く課題と感じた点は「災害関連死につながる避難所や避難生活の状態がイメージできていない」「そのため具体的な対策のアクションにつながっていかない」部分です。したがって、例えば(2)環境衛生の「防災衛生パーソナルキット」を使った対応のように、「脱水状態等の危険性があるので、まず経口補水液を自分で作って飲むようにしよう」「感染症をうつさない、もらわないようにするために、まず自分で正しくマスクを付けるようにしよう」「口腔免疫を保つために、まず自分できちんと歯みがきを行おう」といった、誰もが分かるような対策のアクションを示し、その重要性に気づく機会を作るという流れが大切であると感じました。

防災衛生を学ぶため、子どもも大人も粉末タイプの経口補水液を使って実際に飲んでみる(写真:地域防災支援協会)

次回の全国大会シンポジウムは、2019年10月29日(火)に開催を予定しております。特に高層住宅や訪日外国人も含めた帰宅困難者など、大都市部における災害関連死をなくすためにどうするかを検討したいと考えております。災害関連死ゼロの社会づくりに向けて、是非多くの皆様からのご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。

■参考文献・関連サイト

災害関連死ゼロフォーラム 第1回全国大会シンポジウム
http://bosai-expo.jp/event/zeroforum.html

防災衛生会議
http://bosai-eisei.jp/

避難所運営シミュレーション・さすけなぶる
http://www.sasuke-nable.com/

復興庁・震災関連死に関する検討会「東日本大震災における震災関連死に関する報告」(2012年8月21日)
http://www.reconstruction.go.jp/topics/20120821_shinsaikanrenshihoukoku.pdf

衆議院・第197回国会 予算委員会 第2号会議録(2018年11月1日)
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/001819720181101002.htm

岡本正「災害復興法学II」(慶應義塾大学出版会 2018年)
http://www.risktaisaku.com/articles/-/9384

(了)