2012/03/25
誌面情報 vol30
世界の危機管理専門家が集う 国際危機管理学会─TIEMS プラットフォーム
■国際危機管理学会(TIEMS - The International Emergency Management Society)2011 年は、1月のオーストラリア北東部のブリズ ベンでの大洪水をはじめ、ニュージランドでの大地震、東日本大震災とそれに伴う津波や放射能汚染の問題、ノルウェー首都オスロでの爆破テロ、中国での列車脱線事故、 タイの大洪水など、 世界各地で様々な災害が発生し、壊滅的な被害と多くの被災者に苦悩をもたらしました。このことは、危機や災害管理の世界的な協力体制を強化し、救助と救済を必要とする人々のために十分な危機対応の準備が必要であ ることを意味します。
国際危機管理学会(以下、TIEMS)の役割は、 危機や災害管理の対応に向けた教育、認定および政策のための国際的なフォーラムの開催を通し、社会を取り巻く危機・災害を回避、軽減、対応し、復興 へ向けた社会的能力を向上させることです。
■各国の危機管理専門家が交流
ベルギーに本部を置く TIEMS は、ヨーロッパ、 中東、アジアなど世界各国に支部を持ち、危機管理の専門家の国際的なネットワークを構築していま す。急速な経済のグローバル化に伴い、各国での災 害が世界全体に大きな影響を与える時代において、 世界各国の専門家と交流し、 情報を共有することは、 危機管理レベルの向上をはかる上で今後ますます重要なります。TIEMSでは、各国における危機管理の専門家が地域特有の災害や危機対応の知識や経験 についての意見交換を行う場として、過去に何度も 国際的なカンファレンスやワークショップを開催してきました。
2011年6月には、TIEMS 第 18 回年次会議がルー マニアの首都ブカレストで開催され、25カ国から 150名が参加、10月には中国支部の年次大会も開催され、日本国内から招待された危機管理の専門家による東日本大震災についての発表も行われました。 さらに、近年では、危機・災害管理の資格認定プロ グラム TIEMS QIEDM 認定を設けることで、国際 的に統一された危機・災害対応の管理者の育成にも力を入れています。
TIEMS の活動は、危機・災害管理における活動を歓迎するものであり、より安全な世界に向けた協力と共同努力を求めます。
TIMESの組織の原動力と推進力は各支部にあります。TIEMS は 「世界的に考え、 地域的に行動せよ」 をスローガンとし、実際に世界で活動中の TIEMS の支部はこれを遂行しています。
今回の日本支部の設立にあたり、私は日本の専門家と密に仕事をし、 学ぶことを楽しみにしています。 世界各地における新たな支部の広がりによって、その新たな専門知識と文化が、TIEMS の危機・災害管理の専門性と、より安全な世界に対する総合的な貢献の価値を高めることになるでしょう。
誌面情報 vol30の他の記事
- サイバー脅威への備え
- 100人体制の対策本部/1カ 月を前倒しで全面復旧を実現
- 5つの機能で組織を守る
- 特別寄稿 ハラルド・ドラッガー氏 (TIEMS 会長)
- クライシスコミュニケーションの要求を強化
おすすめ記事
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/10/14
-
走行データの活用で社用車をより安全に効率よく
スマートドライブは、自動車のセンサーやカメラのデータを収集・分析するオープンなプラットフォームを提供。移動の効率と安全の向上に資するサービスとして導入実績を伸ばしています。目指すのは移動の「負」がなくなる社会。代表取締役の北川烈氏に、事業概要と今後の展開を聞きました。
2025/10/14
-
-
-
-
トヨタ流「災害対応の要諦」いつ、どこに、どのくらいの量を届ける―原単位の考え方が災害時に求められる
被災地での初動支援や現場での調整、そして事業継続――。トヨタ自動車シニアフェローの朝倉正司氏は、1995年の阪神・淡路大震災から、2007年の新潟県中越沖地震、2011年のタイ洪水、2016年熊本地震、2024年能登半島地震など、国内外の数々の災害現場において、その復旧活動を牽引してきた。常に心掛けてきたのはどのようなことか、課題になったことは何か、来る大規模な災害にどう備えればいいのか、朝倉氏に聞いた。
2025/10/13
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/10/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方