嘉納治五郎の精神「自他共栄」再々説
関東大震災とスポーツ公園による復興
高崎 哲郎
1948年、栃木県生まれ、NHK政治記者などを経て帝京大学教授(マスコミ論、時事英語)となる。この間、自然災害(水害・土石流・津波など)のノンフィクションや人物評伝等を刊行、著作数は30冊にのぼる。うち3冊が英訳された。東工大、東北大などの非常勤講師を務め、明治期以降の優れた土木技師の人生哲学を講義し、各地で講演を行う。現在は著述に専念。
2019/05/20
安心、それが最大の敵だ
高崎 哲郎
1948年、栃木県生まれ、NHK政治記者などを経て帝京大学教授(マスコミ論、時事英語)となる。この間、自然災害(水害・土石流・津波など)のノンフィクションや人物評伝等を刊行、著作数は30冊にのぼる。うち3冊が英訳された。東工大、東北大などの非常勤講師を務め、明治期以降の優れた土木技師の人生哲学を講義し、各地で講演を行う。現在は著述に専念。
本連載では嘉納治五郎(1860~1938)をすでに数回にわたって取り上げてきた。嘉納の高潔な精神に魅かれるからである。嘉納の略歴を改めて記せば、講道館柔道の創始者であり、学習院教頭をはじめ、第五高等中学(現熊本大学)・第一高等学校(現東京大学)・高等師範学校(東京教育大学を経て現筑波大学)の校長を歴任した、教育者であった。教育を「天職」とする知識人であった。
■日本オリンピックの父・講道館創設者、嘉納治五郎~その大いなる精神と実践~
http://www.risktaisaku.com/articles/-/6005
■講道館柔道の祖・嘉納治五郎・再説~その国際感覚と徹底した平和主義~
http://www.risktaisaku.com/articles/-/8946
■「黎明の鐘」となれ!~<日本マラソンの父>金栗四三と恩師・嘉納治五郎~
https://www.risktaisaku.com/articles/-/10796
■教育家・嘉納治五郎の信念
https://www.risktaisaku.com/articles/-/16622
同時に文部省高級官僚、大日本体育協会会長、日本初(東洋でも初の)国際オリンピック委員会(IOC)委員、そして日中戦争により幻となった1940年東京オリンピック招致もあった。貴族院議員、哲学者…。軍国主義が跋扈(ばっこ)する中で、戦前の日中友好に教育者の立場から大きな足跡を残したことも特筆すべきことだろう。自費を投じて中国人留学生の教育を支援したのである。
その高邁な平和を希求する精神(モラル・バックボーン)に「精力善用」「自他共栄」があることは周知の事実だ。嘉納の関東大震災復興とスポーツ精神を汲み入れた都市計画づくりへの挑戦を考えてみたい。そこにも「自他共栄」の精神が反映されているはずである。以下、「嘉納治五郎」(筑波大学教授真田久)を参考にし、一部引用する。同書は一読に値する良書である。
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