事業継続と災害復旧計画
事業継続は、組織においてどのように位置づけられているか?
ローラ トプリス
ニュージーランドの救急車サービスの事業継続コーディネーター。ISO 22301:2012に準拠したBCPを容易に作成できるオンライン事業継続計画テンプレート「BCP Builder」の開発者。
2019/07/18
ローラのBCP講座
ローラ トプリス
ニュージーランドの救急車サービスの事業継続コーディネーター。ISO 22301:2012に準拠したBCPを容易に作成できるオンライン事業継続計画テンプレート「BCP Builder」の開発者。
事業継続と災害復旧計画は本来的に一体となるものであろうか?事業継続はあなたの組織ではどのように位置づけられるのだろうか?
多くの異なる選択肢があり、考慮すべき最も重要な点は、あなたの組織にとって最適に機能するものは何かということである。
他の組織が事業継続マネジメントをどのように組み入れているか、いくつかの事例がある。
私の経験では事業継続計画が十分にマネジメントされているのは内部監査と同等の経営レベルに置かれている場合である。
一般的な企業における内部監査部門のトップは、機関としての取締役会に直接レポートする。彼らがなすべきことを自律的に行い、どこにも所属しないというのはそのためである。
それぞれの部門が、彼らが成功するための責任を持っている。従って成功してボーナスを得たいというのであれば、事業継続計画はその成功の一部でなければならない。
事業部門を動かしている人たちをマネジメントするというのは大変な仕事である。彼らはその業務、計画、回復の責任を持つ。事業継続計画は世界中に展開する254の多国籍の事業部門で働く11万人にこれを行い、うまくいっている。
あらゆる分野のリスクマネジメントと整合的でなければならず業務運営の最高責任者(すなわち最高業務執行責任者)の指揮命令下になければならない。その最高業務執行責任者は事業継続マネジメントのエグゼクティブスポンサー(役員レベルの支持者)を兼任する。
私がこれまで見た中でベストだったのは(それもまた最終的には人によるのであるが)リスクマネジメント部門の傘下にあるものだった。
そのプログラムはリスクプログラムと緊密に連携が取れており、ITとは永続的に分離され、最高幹部のチームによって業務上の優先事項として認識されていた。
トップマネジメント(役員レベル)による同意、長期のサポート、支持は、事業継続を最初から組織の中の軌道に乗せるのに必須である。それらを”獲得“する必要がある。組織のどこに位置付けるかは、まさにその組織次第である。私が関わったプロジェクトあるいはプログラムでは、事業継続はそのリスクの減少という性質の故に、いつもリスクマネジメントとの相性が良かった。
私の組織では第2の防衛線、オペレーショナル・リスクマネジメントとガバナンスのところに置かれている。それに私の組織では、事業継続マネジメントはガバナンスとコントロールのトップにレポートする。
私の知る限り、文書化されたベストプラクティスはないが、事業継続マネジメントは最後には中断リスクの処理である。そのように事業継続は全社的リスクマネジメント(Enterprise Risk Management)の一部であり、最高リスク責任者あるいはそれと同等の者にレポートするのが好ましい。リスクマネジメントの全体像の一部であるために。
ローラのBCP講座の他の記事
おすすめ記事
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月23日配信アーカイブ】
【4月23日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:南海トラフ地震臨時情報を想定した訓練手法
2024/04/23
2023年防災・BCP・リスクマネジメント事例集【永久保存版】
リスク対策.comは、PDF媒体「月刊BCPリーダーズ」2023年1月号~12月号に掲載した企業事例記事を抜粋し、テーマ別にまとめました。合計16社の取り組みを読むことができます。さまざまな業種・規模の企業事例は、防災・BCP、リスクマネジメントの実践イメージをつかむうえで有効。自社の学びや振り返り、改善にお役立てください。
2024/04/22
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月16日配信アーカイブ】
【4月16日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:熊本地震におけるBCP
2024/04/16
調達先の分散化で製造停止を回避
2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町。オフィス家具を製造するホリグチは真備町内でも高台に立地するため、工場と事務所は無事だった。しかし通信と物流がストップ。事業を続けるため工夫を重ねた。その後、被災経験から保険を見直し、調達先も分散化。おかげで2023年5月には調達先で事故が起き仕入れがストップするも、代替先からの仕入れで解決した。
2024/04/16
工場が吹き飛ぶ爆発被害からの再起動
2018年の西日本豪雨で隣接するアルミ工場が爆発し、施設の一部が吹き飛ぶなど壊滅的な被害を受けた川上鉄工所。新たな設備の調達に苦労するも、8カ月後に工場の再稼働を果たす。その後、BCPの策定に取り組んだ。事業継続で最大の障害は金属の加温設備。浸水したら工場はストップする。同社は対策に動き出している。
2024/04/15
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方