中国(CPI:40.0、176カ国中79位)

中国は中央政府・省・市・県・郷(鎮)・村等からなる重層構造となっており、そのそれぞれに公務員がいます。また、そのそれぞれに共産党委員会が設置されており、同様に多くの関係者が配置されています。そのため、各層の権限等も細分化されていることから、汚職行為が発生しやすいとされています。また、国営企業の関係者を含めると、国民の20人に1人は公人とも言われていることから、ほんの一部の汚職行為であっても、件数的には非常に大きなものになると言われています。

習近平国家主席は2013年の就任以降、汚職撲滅に向けた取り組みを加速していますが、米国、英国で摘発された外国公務員に対する贈賄事例では、汚職が実行された国として、中国は最も多い国のひとつとなっています。

インド(CPI:40.0、176カ国中79位)

インドも連邦制が敷かれており、州の独立性が非常に高いことが特徴のひとつです。例えば、連邦の権限としては、国防・外交・通信・通貨・関税を主管していますが、州政府は法と秩序・公衆衛生・教育・農林漁業等を主管としています。

また、経済計画・社会保障・労働・貿易・産業は共管事項となっており、企業活動において、州政府の権限が大きいことが、汚職・腐敗につながる頻度を高めています。また、インドは民主主義が浸透している反面、行政機関での許認可などに長時間を要する場合が多いことも、汚職・腐敗を助長する要因とされています。

インドネシア(CPI:37.0、176カ国中90位)

現地の企業関係者が「汚職はインドネシアの文化」と言ってはばからないことも多く、インドネシアへ進出している企業の最大の問題となっています。その背景には、スハルト政権時における分権化(地方への権力委譲)が政治腐敗を地方に拡散する土壌となったことが挙げられます。大規模な国家プロジェクトにおいても、数多くの汚職が発生しており、米国、英国で摘発された外国公務員に対する贈賄事例では、汚職が実行された国として、インドネシアは多い国の1つとなっています。

ベトナム(CPI:33.0、176カ国中113位)

ベトナムにおいても、汚職問題は深刻です。日本企業においても、ODA事業にからみ、2008年と2014年に贈賄があったとして、日本企業2社が外国公務員に対する贈賄を禁止した不正競争防止法(第18条)違反で、日本国内で摘発されています。ベトナムにおける汚職問題の背景としては、公務員給与と民間企業給与との大きな格差があると言われています。

ちなみに、ベトナム商工会議所と世界銀行が2013年4月に発表したアンケート調査結果によれば、公務員の45%が「汚職を目撃したことがある」、企業関係者の44%と市民の28%が「賄賂を支払ったことがある」と回答しています。

ブラジル(CPI:40.0、176カ国中79位)

ブラジルでも連邦制が敷かれており、連邦憲法で州政府の権限は連邦政府または市町村議会の専管事項と明記されていない全ての権限とされ、州政府の権限が非常に強いのが特徴です。そのため、州政府は補助金、企業へのインセンティブの規制当局として強い影響力を持っており、汚職の頻度も高いとされています。

ロシア(CPI:29.0、176カ国中131位)

ロシアでも連邦制が敷かれていますが、ほかのBRICs諸国と比較し、地方政府の権限は限定的で、中央政府の権限が絶大です。一方、従来から中央政府は一般企業の経済活動にも介入することが多いため、汚職・腐敗はBRICsの中でも最悪とされています。

(了)