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世界経済フォーラム(World Economic Forum)は、2022年1月に「Charting the Course for Global Value Chain Resilience」を発表した。これは「white paper」(注1)として発表されているので調査報告書とは若干異なるが、世界各国から企業の事例を多数収集したり、400人もの実践者や有識者に協力を得たりして調査・分析を行った結果に基づいて作成されており、これからサプライチェーンのレジリエンスをいかに高めていくかという観点で示唆に富む内容となっている(注2)

これは下記URLから無償でダウンロードできるので、ぜひ多くの皆様にお読みいただきたいと思う。
https://www3.weforum.org/docs/WEF_Charting_the_Course_for_Global_Value_Chain_Resilience_2022.pdf
(PDF 34ページ/約2.7 MB)


この white paper の最大の特徴は、以下に示す8つの指標からなるフレームワークにもとづいて、企業の状況や特性を明らかにしようとしていることである。このフレームワークは「resiliency compass」(レジリエンスの羅針盤)と名付けられている。

1. Portfolio excellence(ポートフォリオの優秀さ)
能動的なポートフォリオ管理を通して商品在庫の確保に集中すること

2. Customer orientation(顧客本位)
ダイバーシティのレベルや、需要に対する地理的な近さ

3. Financial viability(財政的実行可能性)
バリューチェーン全体における、財務的健全性に関する透明性

4. Go-to-market versatility(市場へのアクセスの多様性)
多様なチャネルを通して需要に応える能力

5. Logistics flexibility(物流の柔軟性)
倉庫保管や配送における可視性と柔軟性

6. Manufacturing adaptability(生産の適応力)
レジリエンスが考慮された生産ネットワーク

7. Supplier diversity(サプライヤーの多様性)
供給元が複数あり多様であること

8. Advanced planning(先進的なプランニング)
需要と供給の変化を迅速に感知し、適切に方向転換する能力