【ハタイ(トルコ)時事】トルコ南部で発生し、隣国シリアを含めて5万7000人以上が死亡した大地震から6日で半年たつ。トルコでは家を失うなどした300万人以上がなお避難生活を送っているとみられる。被害が深刻な地域では多くの大破した建物が残されたままで、復興がなかなか進まない厳しい状況に陥っている。
 トルコ災害緊急事態対策庁によると、当局が設置を進めた仮設住宅で暮らす被災者は4日時点で57万人超。この他、家を失ったものの仮設住宅に入居していない130万世帯以上が補助金の支給対象になっており、多くがテントでの生活を余儀なくされている。
 エルドアン大統領は7月24日の演説で「(大勢の)人命が失われた事実は、今も変わらずわれわれの心に痛みを与え続けている」と強調。現時点で被災者向けに「65万戸の住宅建設を計画している」と述べ、準備が整えば順次提供していくと説明した。
 また、国際労働機関(ILO)によれば、地震の影響で65万人前後が稼ぐ手段を失ったといい、被災者の生活再建を阻む要因となっている。当局は商店の仮設店舗の設置を支援するなどし、就労機会の確保に努めている。
 ただ、トルコで最も深刻な被害が出た南部ハタイ県ではがれきの撤去がなお続く。一部再開された商店にも客足はほとんど戻っていないという。
 2月の地震ではハタイ県など11県で5万700人以上が死亡し、シリアでもトルコとの国境に近い地域などで約7000人が犠牲になった。トルコでは10万人以上が負傷し、このうち850人が手や足を失ったとみられている。
 倒壊した建物の多くが耐震性に問題がある違法建築だった。被害の拡大を招いた原因だが、復興に際し、こうした違法建築の再発をどう防ぐかは大きな課題となっている。 
〔写真説明〕2月の地震から半年ほどたってもなお続く大破した建物の解体作業=4日、トルコ南部ハタイ県アンタキヤ地区
〔写真説明〕2月の地震で大破した建物の跡地=4日、トルコ南部ハタイ県アンタキヤ地区
〔写真説明〕がれきが散乱する商店街で再開された衣料品店=4日、トルコ南部ハタイ県アンタキヤ地区

(ニュース提供元:時事通信社)