さて、初期消火といえばまず身近にある消火器ですね。これさえあれば初期消火はばっちりのはずですが、初期消火の限界はどの程度でしょう。一般的なものでは炎が天井(2~4mぐらい)に届く手前と言われております。
消火器の種類については、後ほど解説しますが、まず、消火器といっても、すごく小さいものから結構大きなものまで、いろいろなサイズがあります。
3型 薬品量1000g
4型 薬品量1200g
5型 薬品量1500g
6型 薬品量2000g
10型 薬品量3000/3500g
20型 薬品量6000g

(その他、100型とか200型なんてものもありますが、家庭に置かれているのは10型が多いです。)

消火器メーカーのWebを見ると、10型の粉末消火器でオイルパン(オイルを貯めておく容器)から上がった高さ1m以上の炎を数秒で消している動画が見られます。


消火器ってすごい威力だと思いますよね⁉ これなら結構な火災に十分対応できると思いますよね⁉

オイルパンに水を張り、その上に灯油を入れると油層ができます。そこに着火させるとかなりの炎が上がるんですね。20年前には外でこの消火訓練をよくやりましたが近年では外で炎があげられないし、煙や消火剤で近所からクレームが来るなどの理由でほとんどできなくなりました。

では、オイルパンではなく通常の可燃物(木材・紙・繊維・クッション材など)での実火災に近い出火で一般的な粉末消火器を使用してどの程度消火できるか動画をご覧ください。


なんと、火が消えないんです! 同じ10型の粉末消火器3本使用しても消えないんです!

この動画では初期消火用の防煙マスクを着装して、煙の中に侵入し火点に近づいて放射しているので消火器3本でかなり火勢が弱まりましたが完全には消火できていません。これが防煙マスクなしの場合では煙や熱で火点に近づけませんので、より消火が不十分になります。

煙の中に入ると数回の呼吸で煙・熱で行動不能に陥ります。