電柱の高さや地面の亀裂まで3Dで再現可能
NTT空間情報「GEOSPACE」

NTT東日本の危機管理システムを構築する上で欠かせないのが、NTT空間情報が提供する国内トップクラスの精度を有する地図情報サービス「GEOSPACE」だ。 

「日本全土38万㎢のうち、弊社以外の地図サービス会社が提供できる詳細地図(縮尺1/2500~1/5000)の整備面積は、日本国土のおよそ3割程度。GEOSPACEは9割以上の詳細地図情報を提供できる」と自信を見せるのはNTT空間情報取締役営業本部長の中川守氏。東日本大震災の津波被害や伊豆大島の土砂崩れ被害のように、災害時には都市部以外でも詳細な地図情報が必要になるケースは多い。NTTグループでは、ライフラインを保守するという立場上、古くからへき地においても電柱やマンホールの場所などを含めた詳細な地図情報を保有してきたという。 

例えば大島における地図の詳細度を見てみると、通常のインターネットで確認できるような地図情報に加え、詳細な等高線が描画され、細い道路や住宅の形までが描かれている(図1)。航空写真との一致性も高いため、東日本大震災時では津波により流出した家屋の影響評価も的確にできたという(図2)。 

3Dによる詳細表示も可能 
衛星画像から建物の高さデータを抽出し、GEOSPACE電子地図と合わせることにより、高精度な3次元地図(誤差約5m)を構築することができる。NTT東日本では、次元地図に津3波の浸水域を重ねて描画することで、津波被害をシミュレーションできるシステムを構築している(図3)。 

さらに、レーザーを使ったMMS(モバイル・マッピング・システム)という測量方法により、より細密な3Dデータを作成することも可能だ。一秒間に測量車から30万発のレーザーを物体にあてながら測量することで、地面の細かい亀裂までも3Dで再現することができるという(図4)。

NTTグループでは、このMMSの技術を電線の「たわみ」など設備管理に活用する可能性を検討している。

国土地理院地図の原典データに採用 
GEOSPACEは、さまざまな地図を活用したクラウドサービスに適用することが可能。ユーザーの環境に合わせてデータをシステムにローカル保存することもできる。したがって、社内LAN内などで危機管理システムを構築する場合、インターネット環境が途切れても社内の基幹システムさえ無事であれば使用できる。 

「GEOSPACEの位置情報の精度は、国土地理院地図情報の原典データに採用されていることでも分かる。これからも様々な団体の防災情報の基礎データとして活用してほしい」と中川氏は話す。