ビッグモーターの謝罪会見はなぜ失敗だったのか(イメージ:写真AC)

7月25日、ビッグモーター社が保険金水増し不正請求問題について説明する記者会見を開きました。危機管理専門会社からの支援を受けていましたが、なぜこんな内容と組み立てにしてしまったのかと驚きました。

不祥事が発覚した際に行う記者会見は、信頼失墜を最小限にし(クライシスコミュニケーション)、信頼回復の第一歩に位置付ける(リカバリーコミュニケーション)発想から設計する必要があり、そのために考えなければいけないのがタイミング、記者会見の組み立て方、表現の3要素になります。

ビッグモーター社がこの3要素をうまく構成できなかった理由と、どうすればよかったのかを、特別調査委員会の調査報告書と記者会見での回答を突き合わせながら考察します。

昨年6月に会社として問題を把握していた

ビッグモーター社の基本情報は次の通りです。

1976年、兼重宏行氏によって「兼重オートセンター」として創業された会社で、1978年に株式会社化。1980年に株式会社ビッグモーターに改名。主に中古車の買取販売、車検・一般整備や板金塗装、損害保険代理店業務を実施。未上場だが、社員数は約5000名、店舗数約300、売上高約6000億円規模の大企業。


2022年6月6日、ビッグモーター社は、損保ジャパン株式会社、三井住友海上火災保険株式会社、東京海上日動火災保険株式会社の損保3社から、連名による「自動車修理に関する実態確認のお願い」と題する文書を受け取りました。

そのそも不正請求の問題は昨年6月に発覚していた(イメージ:写真AC)

損保3社がビッグモーター社に文書を出したのは、損害保険防犯対策協議会から損傷していない部分の修理や修理していないのに修理したように見せかけた偽装による不適切な保険請求が行われているとする情報提供を受けたことからのアクションでした。

これに対しビッグモーター社は「現場の経験不足」と釈明したものの、理解を得られなかったため、特別調査委員会が設置され、2023年1月30日から6月20日まで調査が行われることになりました。

調査報告書の作成日は2023年6月26日、会社が受領したのが7月5日、会社のホームページに記載されたのが7月18日、記者会見は7月25日。この間に告発が広がり、ダメージを広げたと言えます。

ここで最も問題となるのは、昨年6月6日の段階で不適切な保険請求を会社として認識していたことです。調査委員会による社長へのヒヤリングでさえ、今年の5月15日に行われています。そもそも特別調査委員会は今年1月30日から開始していますから、この時点で何の問題があるのか、社長は知り得る立場のはず。従って、記者会見で兼重社長が「報告書を受け取る6月26日まで知らなかった」というのは嘘になります。

動画解説(日本リスクマネジャー&コンサルタント協会)