2015/07/10
C+Bousai vol3
原田保夫氏 民間都市開発推進機構理事長
地区防災計画制度の施行から1年が過ぎ、少しずつではあるが全国へ取り組みが広がり始めている。東日本大震災の際には内閣府政策統括官防災担当として対応に奮闘し、その後、国土交通省国土交通審議官を経て2014年に復興庁事務次官に就任し、現在は民間都市開発推進機構理事長を務める原田保夫氏に、地区防災計画制度の誕生のいきさつと同制度への期待を聞いた。
Q.東日本大震災を受け、日本の防災施策全般を見直す中で、なぜ地区防災計画のような制度が必要になったのか、当時のお考えを教えてください。
防災担当としてやはり東日本大震災は衝撃的でした。当時私は内閣府政策統括官防災担当という立場で、被災地の対応に追われていました。復興対策本部が設立される7月まで被災地に関わり、その後は新たな防災対策の策定に取り掛かりました。南海トラフ大地震、首都直下地震への対策だけでなく、毎年のように起こる土砂災害や火山災害にどう対応するべきか、奔走する日々が続きました。
国民の安全確保が行政の大きな使命ですが、現実的な問題として、行政の資源は限られています。行政として発災後に速やかに資源を集中投下しても万全とはいきません。全体的な災害対策をリードするのは行政ですが、被害を防ぐにはどうしても個人や地域の力が不可欠です。その共助を促進する役割として策定されたのが地区防災計画です。
「自助・共助の促進」という話し方をすると、「行政が防災対策を地域に丸投げしている」との批判を受けます。私もこの言葉が軽く扱われる現状には少なかれ違和感を抱いている1人です。ですが、行政の公助を地域の共助に置き換えるイメージではなく、自助・共助・公助のそれぞれが重層的にフォローする協力関係にしなくてはなりません。
C+Bousai vol3の他の記事
- 県境を越えて防災と地域活性化
- 巻頭インタビュー| 地区防災計画がつくる新たな共助社会 話し合う「場」を育てる
- 防災活動でマンションの価値向上 (よこすか海辺ニュータウン「ソフィアステイシア」)
- 原発被害を乗り越え未来に繋ぐ (福島県桑折町半田地区)
- 史上最悪の洪水に備える 避難基準を独自に設定 (長野市長沼地区)
おすすめ記事
-
過疎高齢化地域の古い家屋の倒壊をどう防ぐか
能登半島地震の死者のほとんどは、倒壊した建物の下敷きになって命を落とした。珠洲市や輪島市の耐震化率は50%程度と、全国平均の87%に比べ極端に低い。過疎高齢化地域の耐震改修がいかに困難かを物語る。倒壊からどう命を守るのか。伝統的建築物の構造計算適合性判定に長年携わってきた実務者に、古い家の耐震化をめぐる課題を聞いた。
2024/03/28
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年3月26日配信アーカイブ】
【3月26日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:四半期ニュース振り返り
2024/03/26
-
-
-
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年3月19日配信アーカイブ】
【3月19日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:副業・兼業のリスク
2024/03/19
-
リスク担当者も押さえておきたいサイバーセキュリティ対策の最新動向
本勉強会では、クラウド対応のサイバーセキュリティ対策の動向を、簡単にわかりやすく具体的なソリューションの内容を交えながら解説します。2024年3月8日開催。
2024/03/18
-
発災20分で対策本部をスタートする初動体制
総合スーパーやショッピングモールなど全国各地のイオン系列の施設を中心に設備管理、警備、清掃をはじめとしたファシリティマネジメント事業を展開するイオンディライト(東京都千代田区、濵田和成社長)。元日に発生した能登半島地震では、発災から20分後にオンラインの本社災害対策本部を立ち上げ、翌2日は現地に応援部隊を派遣し、被害状況の把握と復旧活動の支援を開始しました。
2024/03/18
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方