1人の人間は5人しか管理できない

福島第一原子力発電所の事故の教訓として、一般企業や自治体を含め、広く組織の参考になると思われるのが「最悪の事態に陥る」ことを前提にした対策だ。震災後、想定外を想定することの重要性が指摘されているが、どれほど徹底した事前のハード対策を行ったとしても、想定外をゼロにすることはできない。それを補えるのは組織の危機対応力である。危機発生後、最適な方法をいかに早く決定し対応にあたるか、それが実行できる支援体制をいかに構築するか、緊急時における組織体制や組織間連携、情報共有、意思決定のプロセスのあり方が問われている。

東京電力では現在、アメリカで幅広く導入されている緊急時の組織体制を参考に、独自の危機対応体制を整えている。従前との違いは、指揮官1人が管理できる人数的な限界や意思決定のプロセスを明確にしたことだ。 

福島原発事故では、政府首脳などの介入もあり迅速・的確な意思決定ができなかったことは多くのメディアや事故調査報告書の中でも報じられている通りだ。加えて、全電源喪失を想定した対応マニュアルがなく、現場における手動によるベント(格納容器内の気体の放出)手順が整備されていなかったこと、本社が調達して発送した多機種の資機材が一斉に搬入され必要機種の選別に手間どったことなど、数多くの問題点が指摘されている。 

現場では、情報共有を図るためのシステムが電源喪失に伴いほとんど使用不可に陥り、発電所長からの権限委譲も適切でなく、あらゆる判断を発電所長自らが行う体制となっていて、情報共有と指揮命令は大混乱した。さらに、事故の状況や進展が号機ごとに異なるにもかかわらず、すべて一括で対応にあたるという従前の機能班単位で活動していたことも対応を鈍らせた。 

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